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①特定物の意義
(a)例えば、競走馬とするために特定の馬を購入する場合には特定物、特定の用途に使用するために馬○頭を購入するというような場合には不特定物です。
(b)債権には、特定物を対象とする特定債権と、不特定物を対象とする不特性債権とがあります。
(c)民法570条の瑕疵担保責任(目的物の隠れた瑕疵を買主が知らず、不利益を被った時には解除が可能であり、解除ができない場合には損害賠償請求という手段が取れる)に関しては、特定物に認められることは問題がありません。
例えば名馬の血統の仔馬を買ったのに、一見しだだけで解らない重大な肉体上の欠陥があって競走馬になりようがないという場合、同じ年齢の他の仔馬に替えるということはできませんので、契約を解除する理由になります。
これに対して、不特定物の取引では学説が分かれ、法定責任説では、この条件は特定物の売買に限られるとしています。
②特定物の内容
(a)知財の分野において“隠れた瑕疵”というと、特許権や特許出願の譲渡契約、或いは特許ライセンス契約(特許出願に基づく仮専用実施権の設定・仮通常実施権の許諾を含む)において、特許出願前に公開された他の技術との関係で新規性・進歩性を喪失していた場合が挙げられます。
そして特許権や特許出願の対象である発明は、技術的思想の創作であり、その創作性により、買い手やライセンサーにとっては個性を有する取引対象であることが通常です。
多数の特許群をパッケージで売買するような取引の形態では別かもしれませんが。
(b)特許法は、新規性及び進歩性に関して世界中の事象を対象とする世界主義をとっており、世界のどこかで公開されたことを瑕疵と言われるのは、売主或いはライセンサーにとって酷な面があります。
従って契約書において、この種の瑕疵に対する免責条項を設けておくことが通常です。 →免責条項とは
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