内容 |
@一般法の意義
(a)一般法は、特別の事象に限って適用される特別法に対立する概念であり(→特別法とは)、広く一般に適用されます。
(b)広く一般に適用されるといっても、特別法が規定されている場合には、一般法の適用を排除して特別法が適用されます。これを特別法優先の原則と言います。
A一般法の内容
(a)特許法は、一般に実体法の部分と手続法の部分とからなると言われています。
・実体法…権利(特許権・専用実施権・通常実施権)に関して定めた部分
・手続法…特許出願・特許権の延長登録出願などの出願手続、出願審査請求・補正書や意見書などの中間手続、特許出願等の拒絶査定を不服とする審判その他の審判手続などを定めた部分
(b)特許法のうちの実体法の部分に対する一般法は、民法であり、
手続法に関する部分に対する一般法は、行政法である
と考えられます。
(c)例えば行政不服審査法第4条第1項は、「行政庁の処分(この法律による処分を除く)に不服がある者は…審査請求又は異議申立てをすることができる。ただし、次の各号に掲げる処分(国会の決議によって行われる処分等)及び他の法律に審査請求又は異議申立てをすることができない旨の定めがある処分については、この限りではない。」旨が定められており、
このただし書きに対応して、特許法第195条の4には、「査定又は審決及び審判若しくは再審の請求書又は…訂正の請求書の却下の決定並びにこの法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分については、行政不服審査法による不服の申立てをすることができない。」と定められています。
なお、査定又は審決とは、特許出願等の拒絶査定、拒絶査定不服審判・訂正審判・無効審判の審決を言います。“不服を申し立てることができないこととされている処分”とは、例えば特許出願の出願書類の補正に対する却下の決定です。
(d)また行政事件訴訟法第8条第1項は、「処分の取消しの訴えは、当該処分につき法律の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。」と規定されており、
その「法律に…できない旨の定め」として、特許法第184条の2には、
「この法律又はこの法律に基づく命令の規定による処分(195条の4(行政不服審査ほうによる不服の申立の制限)に規定する処分を除く。)の取消しの訴えは、当該処分についての異議申立て又は審査請求に対する決定又は裁決を経た後でなければ、提起することができない。」と規定されています。
なお、「この法律の規定により行政庁がした処分」とは、例えば特許出願等の手続の却下が該当します。
|