内容 |
①付帯控訴の意義
(a)付帯控訴とは、民事訴訟法上、被控訴人の方が控訴に付帯してする原判決に対する不服申立てであって、控訴手続きにおける審判の範囲を自分に有利に拡張するものをいいます。
(b)裁判の当事者は、第1審の判決に対して不服があるときには、上級裁判所に対して控訴する権利(控訴権)を有しますが、一定の期間を経過すると、控訴することができません。
→控訴権とは
そして、一審判決に対して当事者の一方のみが控訴した場合には、上級審では、原則として、原判決を上訴人の不利になるように変更することが出来ません(→不利益変更の禁止の原則)。
例えば特許侵害訴訟において、被告が主張する特許無効の抗弁(例えば特許出願の日前に公開された技術から当業者が当該特許発明を容易に発明できたなど)が退けられ、原告の主張する損害賠償の請求については、賠償額の一部のみ認められた場合であって、原告が賠償額を不服として控訴し、被告が控訴しなかったときには、上級裁判所では、第一審の判決のうちで特許無効の抗弁の部分を変更することができません。
(d)しかしながら、民事訴訟法第293条
は、“被控訴人は、控訴権が消滅した後であっても、口頭弁論の終結に至るまで、附帯控訴をすることができる。”と定めています。
この付帯控訴をした場合には、前記不利益変更禁止の原則が排除され、付帯控訴をした当事者は、控訴審内で審判の範囲を自分に有利に拡張することができます。
②付帯控訴の内容
(a)付帯控訴は、いわば相手方の控訴に便乗するものであり、原則として、控訴の取り下げ又は却下によって効力を失います。
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