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@係争物に関する仮処分の意義
(a)例えば特定物の引き渡しを請求する訴訟を提起する場合に、相手方(特定物の所有者)が特定物を第三者に譲渡されては、訴訟が空振りに終わってしまいます。
こうした事態を回避するために、係争物の譲渡を禁止する仮処分の申し立てをすることがあります。
また相手方が特定物の所有者ではなく、占有者である場合には、係争物の占有禁止の仮処分をする必要があります。
これらの仮処分を、一般に、係争物に関する仮処分と言います。
(b)仮処分には、係争物に関する仮処分と、仮の地位を定めるための仮処分とがありますが、前者は、将来の執行の保全を目的とするものであるのに対して、後者は、将来の執行の保全ではなく、現実に生じている危険を解消するためのものである点で相違します。
→仮の地位を定める仮処分とは
(c)また係争物に関する仮処分は、将来の執行の保全を目的とする点で、仮差押えと共通しますが、後者は、金銭債権のための保全を図るものであるのに対して、前者は、金銭債権以外の特定物の給付を目的とする点で異なります。
→仮差押えとは
A係争物に関する仮処分の内容
(a)平成23年法改正によれば、
・特許を受ける権利を有しない冒認者が特許出願をして特許権を取得したとき、或いは
・特許を受ける権利が共有に係る場合において、一部の共有者のみで特許出願をして特許権を取得したとき
には、真の権利者又は特許を受ける権利の他の共有者は、自らの有する特許を受ける権利の持分に応じて、特許権の移転を請求することができます(特許法第74条第1項)。
しかしながら、特許権の移転の請求に関して裁判所で争っている間に、当該特許権を第三者に移転される危険があります。
このような危険を開始するために、係争物に関する仮処分の申し立てをすることができます。
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