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①Appeal Rightの意義
(a)米国の連邦並びに州の憲法及び成文法によれば、下級裁判所の当事者の訴えに応じて、控訴裁判が開かれます。
(b)控訴は、権利の問題(matter of right)として認められた行為であり、その権利を、実務上で“Appeal
Right”又は“Right to Appeal”ということがあります。
(c)“Appeal
Right”は、訴訟手続の当事者のうちで裁判所の決定により不利益を被った当事者に限って認められます。
なぜなら、前記決定は、個人や財産に対して直接的かつ不利な効果をもたらすからです。
(d)日本の“控訴権”に関しては下記を参照して下さい。 →控訴権とは
②Appeal Rightの意義
(a)特許に関する事例では、連邦巡回区控訴裁判所において、最近、被告が再審査判決を控訴する権利を使い切るまでは、当事者系再審査の決定による禁反言の効果(Estoppel
Effect Of Reexamination Decision)は適用されない、ということが確認されたという事例があります。
Bettcher Indus., Inc. v. Bunzl USA, Inc., 2011-1038, 1046
この事件では、特許権者が提訴した直後に、被告の請求により、特許商標庁(PTO)において当事者系再審査が開始されました。
当事者系再審査とは、米国特許出願の審査が終了し、特許権が付与された後に、特許商標庁が当該特許出願の優先日前に公開された先行技術に基づく新たな拒絶理由についてその特許権の有効性を改めて審査をやり直すことを言います。
当該訴訟が連邦地方裁判所に係属している間、PTOの審査官は、クレームの特許可能性を維持する判断を出し、これに対して被告は控訴しました。
そして当該訴訟の審理において、特許権者は、再審査手続でPTOが検討した引用例に基づき被告が本件特許の無効性を主張するのを禁止することを申し立てていました。
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