今岡憲特許事務所マーク

トップボタン
 パテントに関する専門用語
  

 No:  1456   

特許申請の準備/特許出願/進歩性

 
体系 特許申請及びこれに付随する手続
用語

特許申請の準備

意味  特許申請とは、新規に創作された発明に関して特許庁に対して特許権を付与することを申請することです。



内容 @特許申請の準備

(a)特許申請は、新しい技術的なアイディアの創作(発明)をした人が、国(特許庁)に対して、発明を保護するための権利(特許権)を申請することを言います。

 特許申請とは、一般的な用語であり、特許法上は、“特許出願”と言いますが、一般の方には前者の方が馴染みが深いと思われますので、ここでは、特許申請という言葉を用います。従って、特許申請を特許出願と読み替えて頂いても結構です。

(b)無体財産権として特許権と隣接する権利として、著作権がありますが、この権利は創作した時点で発生し(無方式主義)、文化庁に対する著作権の登録申請は、申請時点で権利が存在することを確認するものに過ぎません。

 これに対して、特許権の場合には、特許申請し、そして特許要件の審査(新規性・進歩性などの審査)を経た後でしか権利が与えられません。

 特許申請は、同一の発明について2以上の申請があったときには、早い者勝ちですので(→先願主義とは)、できるだけ早期に出願をする必要があります。

(c)その反面、どのような形で特許申請をするかにより、特許権の中身が決まってしまうという面がありますので、注意をする必要があります。


A特許申請の準備の内容

(a)事前の留意点

(イ)仮に特許申請をする前に、発明の内容をうっかりと他人に話したり、発明の内容を実施化すると、原則として、特許を受けることができなくなりますので、特に注意しましょう。

 特許申請の日から1年以内であれば、新規性を喪失しないものとみなすという例外がありますが(→新規性喪失の例外とは)、これは新規性のみの例外であり、他人の申請があれば、権利を取得できなくなる点に留意するべきです。

(ロ)他人の申請が別個無関係に創作された発明に対する真正の申請である場合は当然として、仮にあなたが公開したものを他人がそっくり真似(冒認)した場合であっても、その事実を証明できない限り、特許庁が他人の申請に対して特許を付与することを阻止できません。

(ハ)発明者が複数いるときには、全員に対して秘密保持の必要性を徹底しましょう。

(ニ)特許申請前に、やむを得ず発明の内容を他人に話さなければならない場合(例えば発明が実施可能であるかを確認するために、専門知識を有する業者に相談する場合)はあるでしょうが、信頼のできる相手を選び、かつ秘密保持に関して確約を取りましょう。


A特許性調査

(a)特許申請をしても、先行技術と同一であるもの(新規性がないもの)、先行技術から専門家(当業者)が容易に発明できたもの(進歩性がないもの)に関しては、審査官が拒絶査定をすることになっており、特許を受けることができません。

 特許申請(特許出願)の審査を受けるためには、申請日から3年以内に出願審査請求という手続きが必要ですが、これには、相当の費用を支払わなければなりません。

 お金を無駄にしないために、自主的に特許性調査をすることが重要です。

zu

(b)無料で利用できる調査サイトとして、特許庁の外郭団体が運営している特許情報プラットフォームがあります。

https://www7.j-platpat.inpit.go.jp/tjk/tokujitsu/tjkt/TJKT_GM201_Top.action


B特許申請をする前に考えること

(a)複数人が共同して発明をした場合には、誰が発明者であるかを確定する必要があります。単に発明を完成するための実験のお手伝いをしたという程度では発明者とは言えません。

 共同発明の場合には、特許を受ける権利を有する者(原始的には発明者)が全員でなければ特許申請(特許出願)をすることができないというルールがあります。

 一部の発明者を無視して特許申請をすると、特許庁から申請を拒絶されたり、あるいは特許権の付与後に、それら発目者の持分の移転を請求されることがあるため、こうした確認作業は十分にする必要があります。

(b)次に発明者本人が特許申請をするのか、或いは、特許申請をしたいという相手を探して、特許を受ける権利を譲渡するのかを決めます。

 共同発明の場合に、一部の発明者が特許申請に関わりたくないという意向であれば、その人の特許を受ける権利を譲り受けて、残りの発明者で特許申請をするというようなことも考えられます。

zu


B特許申請をする保護の形態を決める。

(a)例えば同じアイディアであっても、物の発明、或いは、方法の発明のどちらでも申請可能であるという場合があります。

 例えば既知の物質に調味料としての性質を発見して、調味料としての発明とすることができるが、或いはその物質を食材にふりかける調理方法としての発明として表現する子tもできるという場合です。

 一般論として、物の発明として特許権を取得した方が権利としての使い勝手が良いと言われます。

 なぜなら、特許侵害の証拠を確保するときに、基本的に、方法の発明ですと、方法を実施している現場を押さえなければならないのに対して、物の発明であると、相手が製造・使用などをした侵害品を抑えれば良いからです。

 しかしながら、それはケースバイケースですので、個々に判断することが必要です。

(b)また特許申請をするときには、どの程度の広さで保護をするかを決めるのは、申請人の責任です。

 例えば、10の広さの保護を求めることができる発明なのに、1の広さの保護で申請をした場合、審査官が“これでは権利範囲が狭すぎる。もったいないですよ。”と言ってくれることはありませんので、先行技術との関係を考慮しながら適切に判断する必要があります。

(c)“発明の広さ”という意味が分からないとおっしゃる方もいると思いますが、特許申請の書類のうちで特許請求の範囲という書類の【請求項○】と書いてある箇所が一つの権利範囲に相当します。

 請求項の書き方の基本は、発明を構成するために必要な要素のみを全て書くことです。

 一つの請求項にA+B+C+D+…という要件が記載されていた場合に、そのそれぞれの要件が限定要件であり、その限定が少ないほど権利範囲が広いことになります。

 極端なことを言えば発明の名称(例えばワードプロセッサーなど)だけが書いてあれば一番広い請求項となるのですが、それでは特許になりようがありませんので、先行技術との兼ね合いで最小限の限定要件を記載することになります。

 不要な要件(不要な数値限定など)を一つでも含んでいると、その請求項は無意味なものとなってしまいますので、注意することが必要です。


C特許申請に必要な書類

(a)一般的な申請書類は次の通りです。

・特許願

・明細書

・請求の範囲

・図面(必要な場合のみ)
→特許申請の書類とは



留意点

次ページ

※ 不明な点、分かりづらい点がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。


 

パテントに関する専門用語一覧へ戻る




今岡憲特許事務所 : 〒164-0003 東京都中野区東中野3-1-4 タカトウビル 2F
TEL:03-3369-0190 FAX:03-3369-0191 

お問い合わせ

営業時間:平日9:00〜17:20
今岡憲特許事務所TOPページ |  はじめに |  特許について |  判例紹介 |  事務所概要 | 減免制度 |  リンク |  無料相談  


Copyright (c) 2014 今岡特許事務所 All Rights Reserved.