体系 |
権利内容 |
用語 |
裁判権 |
意味 |
裁判権とは、一国の裁判所が事件又は人に対して行使できる権限を言います。
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内容 |
@裁判権の意義
裁判権は、一国の裁判所全部を一体として、外国の裁判所(或いは国内の官庁)に対する権限を問題とします。これに対して国内の裁判所のどこが権限を有するのかは、問題とすするのかは裁判管轄権の問題となります(→裁判管轄権とは)。
民事事件では、いずれの国の裁判所が裁判権を行うのかという国際裁判管轄が特に問題となります(→国際裁判管轄)。
一般に事件に対する裁判権を“属物裁判権”、人に裁判権を“属人裁判権”と言います。
“属人裁判権”の例として、日本人である原告が外国で発生した不法行為事件(航空機の墜落による犠牲者の遺族が日本国内に営業所を有する外国の航空会社を訴えた事件)があります(最高裁昭和55年(オ)第130号)。その要旨は次の通りです。
・裁判権を及ぶ範囲は原則として主権が及ぶ範囲と同一であるから、被告が外国に本店を有する外国法人であるときには、我が国の裁判権が及ばないのが原則である。
・例外として被告が我が国と何らかの法的関連を有する事件に関しては、被告の国籍など如何に拘らず、我が国の裁判権に服させるのが相当である。
・国際法上の原則も存しない状況では、当事者間の公平、裁判の適正迅速という観点から、我国民訴法の国内の土地管轄に関する規定に定めた被告の居所(民訴法2条)、法人の事務所・営業所(同4条)、義務履行地(同8条)、不法行為地(同15条)の何れかが我国内いあるときには、被告を我国の裁判権に服されるのが条理にかなう。
A裁判権の内容
特許の分野は、属地主義が支配するため、同一の発明でも各国毎に特許権が成立することを前提として、各国の権限ある官庁(特許庁)に対して特許出願をするべきですが、特許に関する争いがあった場合にどの国の裁判所に提訴するべきかは、事情に応じて判断しなければなりません。
例えばインターネットのウェブサイトでの製品の譲渡の申し出が我国の裁判権に服するをめぐって第一審は裁判権を認めずに訴えを却下し、第二審は裁判権を認めたという事例があります。
→譲渡の申出のケーススタディ
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