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@任意管轄の意義
任意管轄は、当事者間の管轄の合意や被告の応訴により変更されることがある性質の管轄の定めです。
任意管轄は、専属管轄に対する用語です(→専属管轄とは)。
専属管轄は、公益的な要請から特にその裁判所が管轄しなければならないというものです。
これに対して、任意管轄は、主として当事者の便宜と公平を図るという私益的な見地から定められているに過ぎません。
後者の場合には、管轄違いでも構わないという当事者間の合意があれば、本来の管轄とは異なる裁判所が管轄できます。こうした合意に基づく管轄を合意管轄と言います(→合意管轄とは)
また当事者の一方が管轄違いで提訴してしまい、これに対して他方の当事者が異議を申し立てずに応訴したときもそこで管轄が生じます。こうした管轄を応訴管轄と言います(→応訴判決)。
A任意管轄の内容
知的財産に関する訴えのうち、特許権・実用新案権・回路配置利用権・プログラムの著作物についての著作者の権利に関する訴え(特許権等に関する訴えという)については、東日本の各高等裁判所が管轄すべきものは東京高等裁判所が、西日本の各高等裁判所が管轄すべきものは大阪高等裁判所が専属管轄するとされており、任意管轄の対象にはなりません(民事訴訟法6条1項)。
特許侵害などの技術的専門性に対応するためです。
また特許出願の拒絶審決など特許庁の最終判断としての審決に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄であるため(特許法第178条第1項)、やはり任意管轄の対象となりません。
特許出願の審査や各種審判の真理も専門性が高いからです。
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