内容 |
①共同代理の意味
代理権を設定するときに、複数の代理人が共同しなければ代理権を行使できないようにすることができます。法定代理権である「親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。」(民法818条第3項)という如くです。
共同代理の定めがあるにも関わらず、一人の代理人のみで代理行為をすれば、越権行為となります。
②共同代理の内容
民事訴訟法では個別代理が原則となっており(同法第56条第1項)、これと同様に特許法において特許庁に対する手続に関して個別代理の原則の規定(同法第12条)が採られています。
例えば、特許出願人に複数の代理人があるときには、特許庁に対して各人が本人を代理する(一人の代理人がした手続は特許出願人自身がした手続と同様の効力を生じ、また特許庁が複数の代理人の一人にした手続は特許出願人本人に対して手続したのと同じ効力を生ずる)ことになります。
共同代理を許すと手続の効率さを損なうからです。例えば特許出願人の代理人に拒絶査定の謄本を送達するときには、その送達日(謄本が受領された日)から拒絶査定不服審判の請求期間が起算されるため、送達を受けるべき代理人が複数あって送達日が複数できてしまうのは都合が悪いのです。
民事訴訟法第56条第2項は、「当事者が前項の規定と異なる定めをしても、その効力を生じない。」としており、前項が強行規定であることを明らかにしています。
特許法第12条にはそうした条項がありませんが、民事訴訟法と同様に強行規定と解されるべきです。
|