体系 |
ビジネス用語 |
用語 |
"Non-contest" clause(不争義務条項) |
意味 |
"Non-contest"
clauseとは、米国法において、契約などの法律文書において、誰かが訴訟における一定のアクションを取ることを禁止する条項です。
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内容 |
@"Non-contest" clauseの意義
(a)一般的に、"Non-contest" clauseは、人が“何かをすること”或いは“何かをしないこと”を規制するものです。
(b)こうした条項は、アメリカの一般法では、こうした条項はwill(遺書)や契約に入れられることが多いのです。
willの場合には、そのbeneficiaryが後日willの内容の一部に不満があるとして裁判で争い、そして敗訴したら、その者はwillからは何も得られない。そういう趣旨の条項を最初からwillの中に入れておくのです。
(c)契約の場合でも、契約の当事者が後日その契約に関して争いを起こすことを禁止する条項を入れておくことがあります。
(d)米国では、一部の州法でこうした条項を置くことが禁止されています。
A"Non-contest" clauseの意義
(a)特許の分野では、こうした条項は、しばしば通常実施権などの特許ライセンス契約に現れます。
この分野では特許侵害の成否を巡るが争われた後に和解になり、通常実施権などの許諾が行われることが少なくありません。争いが蒸し返されるのは困るので、こうした条項を入れておくのです。
(b)何を争うことを禁止するのかを定めるのは当事者の自由ですが(→契約内容の決定の自由とは)、特許の有効性を争うことを禁止する内容のものがよく話題になります。こうした条項を特に
“no challenge” clause(ノー・チャレンジ条項/異議禁止条項) といい、またこうした条項を含む契約を
“Contract Promises Not to Challenge Patent Validity”
ということがあります。
ライセンシー(通常実施権等を受ける側)の立場からすると、新規性や進歩性のある発明に特許出願をして、その新規性・進歩性等について専門家(審査官)による審査をパスして特許になったのを信頼してライセンスを受けたのに、無効理由がないと判ったら、それは話が違うということになりがちです。こうした場合、対処方法としては特許無効の確認訴訟がありますが、そうした対処を牽制するのが上述の条項です。
(c)もっとも私人間の契約で定めた条項によって、裁判所の判断が拘束されることはありません。実際にそうしたケースで裁判所が‘“no
challenge” clause is
unenforceable.’(ノーチャレンジ条項は強制力を有しない)と判示した事例があります。 →"Non-contest"
clause(不争義務条項)のケーススタディ
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留意点 |
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