パテントに関する専門用語
  

 No: 030    

特許出願の種類/出願分割できる範囲

体系 特許出願の種類
用語

分割出願ができる発明の範囲

意味  分割出願は、原出願の「一部」についてするものです。ここでは「一部」の意味合いに関して解説します。
内容 @「一部」とは、特許出願の明細書・図面の記載事項も含み、特許請求の範囲のみに限定されないと解釈されます。
 その理由は、新規発明を公開する代償として独占排他権を付与する制度の趣旨より、特許出願により開示された発明の技術的事項の全てが当業者に正確に理解し容易に実施できる程度に記載されていれば足り、特許請求の範囲に記載されていないという理由で、分割出願の対象から除外すべきではないからです(→留意点)

A特許査定後に出願を分割するときには、当該一部が分割の直前の原出願の特許請求の範囲・明細書・図面に記載されていたことを要します(→特許査定後の分割出願)。

B本来要件A+Bから課題Xが達成され、要件A+B+Cからさらに課題Yが達成される技術内容であっても、特許出願人が“課題X(orY)を達成するために要件A+B+Cからなる発明をした”の如く、複数の発明を重畳的に記載してしまうと、その中から上位概念である発明A+Bを分割出願することができなくなる可能性があります。→平成16年(ワ)第26092号(インクジェット記録装置用インクタンク事件)。

留意点 @に関しては、かつては特許請求の範囲に記載した事項(補正により特許請求の範囲の記載事項とすることができる事項を含む)に限られるという見解もありましたが、これが最高裁判決で否定され、現在の解釈に至っています。
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