内容 |
@特許法は、新規な発明について保護を求める者に対して、特許出願を通じて発明を国に開示させ、発明の公開により技術の累積的な進歩に寄与する代償として特許権を付与し、産業の発達に貢献することを目的としています。しかしながら、産業の発達はひいては国家や国民の利益になるものですから、公共の利益と矛盾するものではありません。通常の社会活動では、特許権者の利益を最大限に尊重しつつも、いざというときには私権を制限しても社会のために実施を確保する必要があります。そこで緊急時或いは非常の時に特許の活用を図る手段として本制度が設けられました。
A裁定の前提として、予め特許権者等に通常実施権の設定について協議を求め、協議が不調であることが求められます。
B本制度による裁定は未だ認められていませんが、一般的に、「公益のために特に必要であるとき」とは例えば次のような場合をいうと考えられます。
○ガス事業に関する発明であって、その発明を実施すればガス中毒者が著しく少なくなるような場合。
○悪性伝染病が蔓延し、その特効薬の発明を実施することが求められている場合。
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