[事件の概要] |
@事件の概要 原告は、特許第4111382号の特許権者であり、被告において被告製品を製造、販売及び輸出する行為が本件特許権の侵害に当たると主張して、被告に対し、被告製品の製造、譲渡等の差止め並びに被告製品、その半製品及び被告製品の製造装置の廃棄を求めるとともに、本件特許権侵害の不法行為による損害賠償及び遅延損害金の支払を求めています。 A本件特許請求の範囲(訂正後) 「A 焼き網に載置して焼き上げて食する輪郭形状が方形の小片餅体である切餅の B 載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に、この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設け、 C この切り込み部又は溝部は、この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に一周連続させて角環状とした若しくは前記立直側面である側周表面の対向二側面に形成した切り込み部又は溝部として、 D 焼き上げるに際して前記切り込み部又は溝部の上側が下側に対して持ち上がり、最中やサンドウイッチのように上下の焼板状部の間に膨化した中身がサンドされている状態に膨化変形することで膨化による外部への噴き出しを抑制するように構成した E ことを特徴とする餅。」 B本件特許発明の概要 [従来の技術及び発明が解決しようとする課題] ・「餅を焼いて食べる場合、加熱時の膨化によって内部の餅が外部へ突然膨れ出て下方へ流れ落ち、焼き網に付着してしまうことが多い。」(段落【0002】)、 ・「このような膨化現象は焼き網を汚すだけでなく、焼いた餅を引き上げずらく、また食べにくい。更にこの膨化のため餅全体を均一に焼くことができないなど様々な問題を有する。」(段落【0004】)、 ・「しかし、このような膨化は水分の多い餅では防ぐことはできず、十分に焼き上げようとすれば必ず加熱途中で突然起こるものであり、この膨化による噴き出し部位も特定できず、これを制御することはできなかった。」(段落【0005】) ・「一方、米菓では餅表面に数条の切り込み(スジ溝)を入れ、膨化による噴き出しを制御しているが、同じ考えの下切餅や丸餅の表面に数条の切り込みや交差させた切り込みを入れると、この切り込みのため膨化部位が特定されると共に、切り込みが長さを有するため噴き出し力も弱くなり焼き網へ落ちて付着する程の突発噴き出しを抑制することはできるけれども、焼き上がった後その切り込み部位が人肌での傷跡のような焼き上がりとなり、実に忌避すべき状態となってしまい、生のつき立て餅をパックした切餅や丸餅への実用化はためらわれる。」(段落【0007】) ・「本発明は、このような現状から餅を焼いた時の膨化による噴き出しはやむを得ないものとされていた固定観念を打破し、切り込みの設定によって焼き途中での膨化による噴き出しを制御できると共に、焼いた後の焼き餅の美感も損なわず実用化でき、しかも切り込みの設定によっては、焼き上がった餅が単にこの切り込みによって美感を損なわないだけでなく、逆に自動的に従来にない非常に食べ易く、また食欲をそそり、また現に美味しく食することができる画期的な焼き上がり形状となり、また今まで難しいとされていた焼き餅を容易に均一に焼くことができ餅の消費量を飛躍的に増大させることも期待できる極めて画期的な餅を提供することを目的としている。」(段落【0008】) [課題を解決するための手段] ・「焼き網に載置して焼き上げて食する輪郭形状が方形の小片餅体1である切餅の載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体1の上側表面部2の立直側面である側周表面2Aに、この立直側面2Aに沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する一若しくは複数の切り込み部3又は溝部を設け、この切り込み部3又は溝部は、この立直側面2Aに沿う方向を周方向としてこの周方向に一周連続させて角環状とした若しくは前記立直側面である側周表面2Aの対向二側面に形成した切り込み部3又は溝部として、焼き上げるに際して前記切り込み部又は溝部の上側が下側に対して持ち上がり、最中やサンドウイッチのように上下の焼板状部の間に膨化した中身がサンドされている状態に膨化変形することで膨化による外部への噴き出しを抑制するように構成したことを特徴とする餅に係るものである。」(段落【0010】)、 ・「また、焼き網に載置して焼き上げて食する輪郭形状が方形の小片餅体1である切餅の載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部2の立直側面である側周表面2Aに、この立直側面2Aに沿う方向を周方向としてこの周方向に一周連続させて角環状の切り込み部3又は溝部を設けたことを特徴とする請求項1記載の餅に係るものである。」(段落【0011】) [発明の実施の形態] ・「好適と考える本発明の実施の形態・・・を、図面に基づいてその作用効果を示して簡単に説明する。」(段落【0012】)、 ・「小片餅体1の上側表面部2には、長さを有するあるいは長さが短くても複数配置された切り込み部3又や溝部(以下、単に切り込み3という)が予め形成されているため、小片餅体1を焼く場合には単に焼き網に小片餅体1を載せて加熱するだけで、膨化による噴き出しが生じない。」(段落【0013】)、 ・「即ち、従来は加熱途中で突然どこからか内部の膨化した餅が噴き出し(膨れ出し)、焼き網に付着してしまうが、切り込み3を設けていることで、先ずこれまで制御不能だったこの噴き出し位置を特定することができ、しかもこの切り込み3を長さを有するものとしたり、短くても数箇所設けることで、膨化による噴出力(噴出圧)を小さくすることができるため、焼き網へ垂れ落ちるほど噴き出し(膨れ出)たりすることを確実に抑制できることとなる。」(段落【0014】) ・「しかも本発明は、この切り込み3を単に餅の平坦上面(平坦頂面)に直線状に数本形成したり、X状や+状に交差形成したり、あるいは格子状に多数形成したりするのではなく、周方向に形成、例えば周方向に連続して形成してほぼ環状としたり、あるいは側周表面2Aに周方向に沿って形成するため、この切り込み3の設定によって焼いた時の膨化による噴き出しが抑制されると共に、焼き上がった後の焼き餅の美感も損なわない。しかも焼き上がった餅が単にこの切り込み3によって美感を損なわないだけでなく、逆に自動的に従来にない非常に食べ易く、また食欲をそそり、また美味しく食することができる焼き上がり形状となり、それ故今まで難しいとされていた焼き餅を容易に均一に焼くことができることとなる。」(段落【0015】)、 ・「即ち、例えば、側周表面2Aに切り込み3を周方向に沿って形成することで、この切り込み部位が焼き上がり時に平坦頂面に形成する場合に比べて見えにくい部位にあるというだけでなく、オーブン天火による火力が弱い位置に切り込み3が位置するため忌避すべき焼き形状とならない場合が多い。」(段落【0016】)、 ・「また、この側周表面2Aに形成することで、膨化によってこの切り込み3の上側が下側に対して持ち上がり、この切り込み部位はこの持ち上がりによって忌避すべき焼き上がり状態とならないという画期的な作用・効果を生じる。」(段落【0017】)、 ・「即ち、この持ち上がりにより、図2に示すように最中やサンドウィッチのような上下の焼板状部の間に膨化した中身がサンドされている状態、あるいは焼きはまぐりができあがりつつあるようなやや片持ち状態に開いた貝のような形状に自動的に膨化変形し、自動的に従来にない非常に食べ易く、また食欲をそそり、また美味しく食することができる焼き上がり形状となる。またほぼ均一に焼き上げることが可能となる。」(段落【0018】) [発明の効果] ・「本発明は上述のように構成したから、切り込みの設定によって焼き途中での膨化による噴き出しを制御できると共に、焼いた後の焼き餅の美感も損なわず実用化でき、しかも切り込みの設定によっては、焼き上がった餅が単にこの切り込みによって美感を損なわないだけでなく、逆に自動的に従来にない非常に食べ易く、また食欲をそそり、また現に美味しく食することができる画期的な焼き上がり形状となり、また今まで難しいとされていた焼き餅を容易に均一に焼くことができ餅の消費量を飛躍的に増大させることも期待できる極めて画期的な餅となる。」(段落【0032】) ・「しかも本発明は、この切り込みを単なる餅の平坦上面に直線状に数本形成したり、X状や+状に交差形成したり、あるいは格子状に多数形成したりするのではなく、周方向に形成、例えば周方向に連続して形成してほぼ環状としたり、あるいは側周表面に周方向に沿って対向位置に形成すれば一層この切り込みよって焼いた時の膨化による噴き出しが抑制されると共に、焼き上がった後の焼き餅の美感も損なわず、しかも確実に焼き上がった餅は自動的に従来にない非常に食べ易く、また食欲をそそり、また美味しく食することができる焼き上がり形状となり、それ故今まで難しいとされていた焼き餅を容易に均一に焼くことができこととなる画期的な餅となる。」(段落【0033】) ・「また、切り込み部位が焼き上がり時に平坦頂面に形成する場合に比べて見えにくい部位にあるというだけでなく、オーブン天火による火力が弱い位置に切り込みが位置するため忌避すべき焼き形状とならない場合が多く、膨化によってこの切り込みの上側が下側に対して持ち上がり、この切り込み部位はこの持ち上がりによって忌避すべき焼き上がり状態とならないという画期的な作用・効果を生じる。」(段落【0034】) ・「特に本発明においては、方形(直方形)の切餅の場合で、立直側面たる側周表面に切り込みをこの立直側面に沿って形成することで、たとえ側周面の周面全てに連続して角環状に切り込みを形成しなくても、少なくとも対向側面に所定長さ以上連続して切り込みを形成することで、この切り込みに対して上側が膨化によって流れ落ちる程噴き出すことなく持ち上がり、しかも完全に側面に切り込みは位置し、オーブン天火の火力が弱いことなどもあり、忌避すべき形状とはならず、また前述のように最中やサンドウィッチのような上下の焼板状部で膨化した中身がサンドされている状態、あるいは焼きはまぐりができあがったようなやや片持ち状態に開いた貝のような形状となり、自動的に従来にない非常に食べ易く、また食欲をそそり、また美味しく食することができる焼き上がり形状となる。」(段落【0035】) C特許出願の手続等の経緯 原告は、 ・平成14年10月31日、下記の内容を当初の請求項1として特許出願(特願2002−318601号。以下「本件特許出願」という。)をしており、 「【請求項1】 角形の切餅や丸形の丸餅などの小片餅体の載置底面ではなく上側表面部に、周方向に長さを有する若しくは周方向に配置された一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設けたことを特徴とする餅。」 ・平成17年5月27日付けで拒絶理由通知を受けたので、 ・平成17年8月1日付けで、本件特許出願の請求の範囲等を下記の通り補正する手続補正書及び意見書を提出し、 「【請求項1】 角形の切餅や丸形の丸餅などの焼き網に載置して焼き上げて食する小片餅体の載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の側周表面のみに、周辺縁あるいは輪郭縁に沿う周方向に長さを有する一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設け、前記周方向に連続して形成若しくは周方向に沿って複数形成した切り込み部又は溝部は、少なくとも前記小片餅体の側周表面の互いに対向する位置には存するように構成して、焼き上げるに際しての膨化による外部への噴出力を抑制するための前記切り込み部又は溝部を、前記小片餅体の載置底面又は平坦上面には形成せず、且つ前記切込み部又は溝部が前記小片餅体の側周表面の対向位置に何ら形成されていないことのないように構成したことを特徴とする餅。」(斜線部は変更箇所) ・平成17年9月21日付けで更に拒絶理由通知を受けたので、 ・平成17年11月25日付けで、本件特許出願の請求の範囲を下記の通りに補正をする手続補正書を提出するとともに意見書を提出し、 「【請求項4】 焼き網に載置して焼き上げて食する切餅などの輪郭形状が方形の小片餅体の載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に、この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する若しくは周方向に配置された一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設け、この切り込み部又は溝部は、この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に一周連続させて角環状とした若しくは周方向に沿って複数配置してほぼ角環状に配置した若しくは前記立直側面である側周表面の対向二側面に形成した切り込み部又は溝部として、焼き上げるに際しての膨化による外部への噴き出しを抑制するように構成したことを特徴とする餅。」(斜線部は変更箇所。丸餅のクレームは省略する) ・平成18年1月24日付けで拒絶査定を受けたため、 ・平成18年2月27日付けで上記拒絶査定不服審判を請求するとともに、同年3月29日付けで、本件特許出願の請求の範囲を下記の通りに補正をする手続補正書を提出し、 「【請求項4】 焼き網に載置して焼き上げて食する輪郭形状が方形の小片餅体である切餅の載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に、この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設け、この切り込み部又は溝部は、この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に一周連続させて角環状とした若しくは前記立直側面である側周表面の対向二側面に形成した切り込み部又は溝部として、焼き上げるに際して前記切り込み部又は溝部の上側が下側に対して持ち上がり、最中やサンドウイッチのように上下の焼板状部の間に膨化した中身がサンドされている状態に膨化変形することで膨化による外部への噴き出しを抑制するように構成したことを特徴とする餅。」(斜線部は補正した所) ・平成20年2月19日付けで拒絶理由通知を受けたので、 ・平成20年2月29日付けで、本件特許出願の請求の範囲のうち丸餅の部分を削除した補正をする手続補正書を提出するとともに、同日付け意見書を提出し、 ・平成20年3月24日、「原査定を取り消す。本願の発明は、特許すべきものとする。」との審決を受け、 ・平成20年4月18日、本件特許権の設定登録(請求項の数2)を受けた。 D被告製品の内容 「a 焼き網に載置して焼き上げて食する輪郭形状が直方形の小片餅体である切餅の b1 上面17及び下面16に、切り込み部18が上面17及び下面16の長辺部及び短辺部の全長にわたって上面17及び下面16のそれぞれほぼ中央部に十字状に設けられ、 b2 かつ、上面17及び下面16に挟まれた側周表面12の長辺部に、同長辺部の上下方向をほぼ3等分する間隔で長辺部の全長にわたりほぼ並行に2つの切り込み部13が設けられ、 c 切り込み部13は側周表面12の対向する二長辺部に設けられている d 餅。」 E原告の主張の要旨 (a)構成要件Bの充足性 (ア) 請求項1の文言解釈 本件発明の特許請求の範囲(請求項1)の構成要件B(「載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に、この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設け、」)においては、「載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に」の文言が読点を挟まずに連続して記載されるとともに、この記載の後に読点が付されている。このため、構成要件Bの「載置底面又は平坦上面ではなく」との記載は、切り込み部又は溝部(以下「切り込み部等」という場合がある。)を設ける切餅の部位が「側周表面」であることを明確に特定するために、「側周表面」を修飾するものであることは、文言上明らかである。 具体的に述べれば、切餅は「直方体」であるため、これを載置する場合、別紙参考図面の図1ないし3の3パターンが考えられ、単に「この小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面」と述べても、直方体の6面のどの部分が「側周表面」であるのかを特定することができない。そこで、本件発明の構成要件A及びBにおいては、「焼き網に載置して焼き上げて食する輪郭形状が方形の小片餅体である切餅の載置底面又は平坦上面ではなく」として、焼き網に載置して焼き上げる場合を前提とした載置底面及び平坦上面をそれぞれ特定した上で、載置底面又は平坦上面ではない「側周表面」であるという特定をしたのである。 仮に切餅の載置底面又は平坦上面に切り込み部を設けた構成を除外するために、切餅の側周表面だけに切り込み部を設けることを表現する場合であれば、一般に「切餅の載置底面又は平坦上面には切り込み部を設けずに、切餅の側周表面に切り込み部を設ける」、又は「切餅の側周表面のみに切り込み部を設ける」などと記載されるべきであるのに、構成要件Bではそのようには記載されていない。 したがって、構成要件Bの文言解釈においては、切餅の「側周表面」に切り込み部等を設ける必要があるが、「載置底面又は平坦上面」には切り込み部等を設けても設けなくてもよいと解釈すべきであって、構成要件Bの「載置底面又は平坦上面ではなく」を「載置底面又は平坦上面には切り込み部又は溝部を設けず」と文言上解釈し得ないことは明らかである。 (イ) 明細書記載の作用効果からの解釈 本件明細書の段落[0032]の記載によれば、切餅の薄肉部である側面の「切り込みの設定によって」、切餅が最中やサンドウイッチのように焼板状部間に膨化した中身がサンドされた状態に焼き上がって、噴きこぼれが抑制されるだけでなく、見た目よく、均一に焼き上がり、食べ易い切餅が簡単にできることに本件発明の作用効果があるのであって、載置底面又は平坦上面に切り込みが存在するか否かは、このような作用効果とは無関係である。 (後略) (ウ) 特許出願の経過からの解釈(省略) (エ) 被告製品へのあてはめ 被告製品においては、構成b2のとおり、切餅の上側表面部の立直側面である側周表面12の長辺部に、これに沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する二つの切り込み部13が設けられている。 したがって、被告製品は、切餅の「載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に、この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する複数の切り込み部を設ける」構成を有するものであるから、本件発明の構成要件Bを充足する。 (b)構成要件Dの充足性 (ア) 被告製品においては、構成b2のとおり、切り込み部13が対向二側面である側周表面12の長辺部に形成されており、「焼き上げるに際して切り込み部13の上側が下側に対して持ち上がり、最中やサンドウイッチのように上下の焼板状部の間に膨化した中身がサンドされている状態に膨化変形することで膨化による外部への噴き出しを抑制する」構成となっていることが明らかである。そして、このことは、原告が被告製品の焼き上がり状態の検証実験を行った結果を記載した検証結果報告書からも裏付けられる。 したがって、被告製品は、本件発明の構成要件Dを充足する。 F被告の主張の要旨 (a)構成要件Bの非充足 本件明細書の段落【0007】、【0008】、【0015】ないし【0017】、【0032】ないし【0035】の各記載によれば、本件発明は、切餅において、従来「載置底面又は平坦上面」に形成されていた切り込み部を側周表面に周方向に形成することにより、忌避すべき焼き上がりとならないようにしたものということができるから、構成要件Bの「載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に、・・・切り込み部又は溝部を設け」るとは、「載置底面又は平坦上面」には切り込み部等を設けず、「上側表面部の立直側面である側周表面」に切り込み部等を設けることを意味するものと解釈すべきである。(中略) また、単に、「切り込み部又は溝部」が「小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に」設けられるという構成であることを表現するのであれば、「小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に切り込み部又は溝部を設ける」とすれば足りるはずであり、「載置底面又は平坦上面ではなく」との記載を付加する必要はないというべきであるから、この点からも、構成要件Bの「載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に・・・切り込み部又は溝部を設け」るとは、「載置底面又は平坦上面」には切り込み部等を設けないことを意味するものと解釈される。 (b)構成要件Dの非充足 「板」は「材木を薄く平らくひきわったもの。」を、「焼(やき)」は「焼くこと。また、焼いたさま。」をそれぞれ意味すること(広辞苑第五版)からすると、「焼板状部」とは、「材木を薄く平らくひきわったものを焼いたさま」の状態の部分を意味するものと解される。そうすると、本件発明の構成要件Dの「焼板状部」とは、焼き上げられた切餅の「載置底面及び平坦上面」が上記のような状態にあることを要するものと解される。 他方、本件明細書の段落【0007】には、切餅の載置底面又は平坦上面に切り込み部が設けられていると、「焼き上がった後その切り込み部位が人肌での傷跡のような焼き上がりとなり、実に忌避すべき状態となってしまい、生のつき立て餅をパックした切餅や丸餅への実用化はためらわれる。」と記載されている。これによれば、切餅の「載置底面又は平坦上面」に切り込み部が設けられた構成(例えば、切り込みをX状や+状に交差形成した構成)では、切餅が焼き上げられるに際して、平坦上面に形成された切り込み部又は交差部位において膨化変形が生じ、平坦上面は切り込み部又は交差部位が盛り上がった状態となるが、このような平坦上面の状態は、「材木を薄く平らくひきわったものを焼いたさま」の状態とはいえない。 したがって、切餅の「載置底面又は平坦上面」に切り込み部が設けられた構成のものは、構成要件Dの「焼板状部」に該当する構成を有するものとはいえない。 |
[裁判所の判断] |
@裁判所は、構成要件Bに関して次のように認定しました。 (a)本件発明の請求項1の記載及び前記本件明細書の記載事項を総合すれば、本件発明は、 ・「切り込みの設定によって焼き途中での膨化による噴き出しを制御できると共に、焼いた後の焼き餅の美感も損なわず実用化でき」るようにすることなどを目的とし、 ・切餅の切り込み部等(切り込み部又は溝部)の設定部位を、従来考えられていた餅の平坦上面(平坦頂面)ではなく、「上側表面部の立直側面である側周表面に周方向に形成」する構成を採用したことにより、焼き途中での膨化による噴き出しを制御できると共に、「切り込み部位が焼き上がり時に平坦頂面に形成する場合に比べて見えにくい部位にあるというだけでなく、オーブン天火による火力が弱い位置にあるため、焼き上がった後の切り込み部位が人肌での傷跡のような忌避すべき焼き形状とならない場合が多い」などの作用効果を奏する ことに技術的意義があるというべきであるから、本件発明の構成要件Bの「載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に、・・・切り込み部又は溝部を設け」との文言は、切り込み部等を設ける切餅の部位が、「上側表面部の立直側面である側周表面」であることを特定するのみならず、「載置底面又は平坦上面」ではないことをも並列的に述べるもの、すなわち、切餅の「載置底面又は平坦上面」には切り込み部等を設けず、「上側表面部の立直側面である側周表面」に切り込み部等を設けることを意味するものと解するのが相当である。 (但し、この判断は控訴審において覆されています) (b)原告は、構成要件Bにおいては、「小片餅体である切餅の載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に」の文言が読点を挟まずに連続して記載されるとともに、この記載の後に読点が付されていることから切餅の「載置底面又は平坦上面」に切り込み部等を設けた構成を除外する趣旨の記載ではない旨主張する。 しかし、仮に切り込み部等を設ける切餅の部位が「載置底面又は平坦上面」とは異なる「側周表面」であることを特定することのみを表現するのであれば、「載置底面又は平坦上面ではない・・・側周表面」などの表現をするのが適切であることに照らすならば、原告が主張する構成要件Bの記載形式のみから、「載置底面又は平坦上面ではなく」との文言が「側周表面」を修飾する記載にすぎないと断ずることはできないというべきである。 (c)原告は、切餅は直方体であるために単に「この小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面」と述べても、別紙参考図面の図1ないし3の3パターンが考えられ、直方体の6面のどの部分が側周表面であるのかを特定することができないことから切餅の「載置底面又は平坦上面」に切り込み部等を設けた構成を除外する趣旨の記載ではない旨主張する。 原告が主張する別紙参考図面の図1ないし3の3パターンにおいて、いずれの「側周表面」であるかを特定するためには、「焼き網に載置して焼き上げて食する輪郭形状が方形の小片餅体である切餅」であること(構成要件A)が前提として示されていれば十分であり、これに加えて「載置底面又は平坦上面ではなく」との記載が必要であるということはできない。 すなわち、本件発明は、構成要件Aにおいて「焼き網に載置して焼き上げて食する輪郭形状が方形の小片餅体である切餅」であることが前提とされる以上、そのような切餅を焼き網に載置した場合の状態として通常想定されるのは、別紙参考図面の図1のように直方体の最も面積の広い面を下にした状態であって、図2及び3のような不自然な状態でないことは明らかである。 そうである以上、構成要件Aに続く記載として、「この小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に」との文言があれば、切り込み部等が設けられる部位である「側周表面」の特定としては十分であって、「載置底面又は平坦上面ではなく」との文言が必要であるということはできない。 むしろ、構成要件Bにおいて、「側周表面」の特定のために特に必要とされない「載置底面又は平坦上面ではなく」との文言があえて付加されていることからすれば、当該文言は、切り込み部等を設ける切餅の部位が、「上側表面部の立直側面である側周表面」であることを特定するのみならず、「載置底面又は平坦上面」ではないことをも並列的に述べるという積極的な意味のある記載であると解釈するのが合理的である。 (d)原告は、仮に切餅の「載置底面又は平坦上面」に切り込み部を設けた構成を除外するのであれば、「切餅の載置底面又は平坦上面には切り込み部を設けずに、切餅の側周表面に切り込み部を設ける」又は「切餅の側周表面のみに切り込み部を設ける」などと記載されるべきであるのにそのような記載にはなっていないことから切餅の「載置底面又は平坦上面」に切り込み部等を設けた構成を除外する趣旨の記載ではない旨主張する。 しかしながら、そのように断定することはできない。 (e)原告は、段落【0032】の記載によれば、切餅の薄肉部である側面の「切り込みの設定によって」、切餅が最中やサンドウイッチのように焼板状部間に膨化した中身がサンドされた状態に焼き上がって、噴きこぼれが抑制されるだけでなく、見た目よく、均一に焼き上がり、食べ易い切餅が簡単にできることに本件発明の作用効果があるのであって、載置底面又は平坦上面に切り込みが存在するか否かは、このような作用効果とは無関係である旨主張する。 しかしながら、段落【0032】を含む本件明細書の記載によれば、本件発明においては、切餅の切り込み部等(切り込み部又は溝部)の設定部位を、従来考えられていた餅の平坦上面(平坦頂面)ではなく、「上側表面部の立直側面である側周表面に周方向に形成」する構成を採用したことにより、「切り込みの設定によって焼き途中での膨化による噴き出しを制御できると共に、焼いた後の焼き餅の美感も損なわず実用化でき」ることなどの作用効果を奏するものであり、この「焼いた後の焼き餅の美感も損なわず実用化でき」る作用効果は、具体的には、「切り込み部位が焼き上がり時に平坦頂面に形成する場合に比べて見えにくい部位にあるというだけでなく、オーブン天火による火力が弱い位置にあるため忌避すべき焼き形状とならない場合が多く、膨化によってこの切り込みの上側が下側に対して持ち上がり、この切り込み部位はこの持ち上がりによって忌避すべき焼き上がり状態とならないという」作用効果を意味するのであるから、載置底面又は平坦上面に切り込みが存在するか否かは、本件明細書に記載された本件発明の上記効果と密接に関係することであって、これと無関係であるなどといえないことは明らかである。 (f)原告は、段落【0032】における「切り込みの設定によっては、焼き上がった餅が単にこの切り込みによって美感を損なわないだけでなく」との記載は、本件発明が、載置底面又は平坦上面に切り込み部を設けた餅をも包含することを前提としている旨主張する。 しかしながら、本件明細書の段落【0032】ないし【0035】の記載を総合すれば、段落【0032】における「切り込みの設定によっては、焼き上がった餅が単にこの切り込みによって美感を損なわないだけでなく」との記載は、餅の突発噴き出しを抑制するための切り込み部位を、「平坦上面又は載置底面」に設けるのではなく「側周表面」に設けるという「切り込みの設定」によって「焼き途中での膨化による噴き出しを制御できると共に、焼いた後の焼き餅の美感も損なわず実用化でき」るとの効果を奏することを説明した上で、さらに、切り込みの設定によっては、「例えば周方向に連続して形成してほぼ環状としたり、あるいは側周表面に周方向に沿って対向位置に形成すれば」(段落【0033】)、上記の効果に加えて、「最中やサンドウィッチのような上下の焼板状部で膨化した中身がサンドされている状態、あるいは焼きはまぐりができあがったようなやや片持ち状態に開いた貝のような形状となり、自動的に従来にない非常に食べ易く、また食欲をそそり、また美味しく食することができる焼き上がり形状となる」(段落【0035】)という効果をも奏することを述べているものと理解することができる。 したがって、段落【0032】における「切り込みの設定によっては、焼き上がった餅が単にこの切り込みによって美感を損なわないだけでなく」との記載から、本件発明が載置底面又は平坦上面に切り込み部を設けた餅をも包含することを前提としているとの原告の上記主張は、失当である。 (g)原告は、本件明細書の段落【0033】における「本発明は、この切り込みを単なる餅の平坦上面に直線状に数本形成したり、X状や+状に交差形成したり、あるいは格子状に多数形成したりするのではなく、周方向に形成、例えば周方向に連続して形成してほぼ環状としたり、あるいは側周表面に周方向に沿って対向位置に形成」するとの記載は、本件発明が載置底面又は平坦上面に切り込み部を入れたものを含むことを示している旨主張する。 しかしながら、本件明細書の段落【0007】、【0008】、【0015】、【0032】ないし【0035】の記載を総合すれば、原告主張の段落【0033】における上記記載部分は、本件発明においては、「焼き上がった後その切り込み部位が人肌での傷跡のような焼き上がりとなり、実に忌避すべき状態となってしまい、生のつき立て餅をパックした切餅や丸餅への実用化はためらわれる」という問題点があった、餅の「平坦上面」に種々の切り込みを形成するという構成ではなく、「側周表面」に切り込みを形成する構成とした旨を述べているものであることが明らかである。 したがって、本件明細書の段落【0033】における上記記載部分は本件発明が載置底面又は平坦上面に切り込み部を入れたものを含むことを示しているとの原告の上記主張は、理由がない。 (h)原告は、焼き上がった後の切り込み部が「忌避すべき焼き形状とならない」ことについて述べる本件明細書の記載(段落【0034】等)は、単に「側周表面」に設けられた切り込み部が忌避すべき焼き形状とならないことを指摘したものにすぎず、「載置底面又は平坦上面」に切り込み部を設けるか否かについて何ら言及するものではない旨主張する。 しかしながら、前記ア(イ)で述べたとおり、本件明細書には、加熱時の膨化による噴き出しを制御するための切り込み部を餅の表面(切餅では平坦上面)に設けた場合には、「人肌での傷跡のような焼き上がりとなり、焼き上がり形状が忌避すべき状態となってしまい、切餅への実用化がためらわれる」という従来の課題を踏まえ、当該切り込み部を、平坦上面の場合に比べて見えにくい上に、オーブンによる火力が弱い位置である「側周表面」に設けたことによって、「焼き上がった後の切り込み部位が人肌での傷跡のような忌避すべき焼き形状とならない場合が多い」などの作用効果を奏することが記載されていることに照らすならば、原告の上記主張は、理由がない。 (i)原告は、本件明細書には、「載置底面」に切り込み部を設けるか否かについての言及がないことを根拠として、構成要件Bの「載置底面・・・ではなく」の意味を「載置底面に切り込み部又は溝部を設けない」と解釈することはできず、そうである以上、同一の文言を用いた「平坦上面ではなく」との記載についても、「平坦上面に切り込み部又は溝部を設けない」と解釈することはできない旨主張する。 そこで検討するに、本件明細書には、加熱時の膨化による噴き出しを制御するための切り込み部を餅の表面(切餅では平坦上面)に設けた場合には、「人肌での傷跡のような焼き上がりとなり、焼き上がり形状が忌避すべき状態となってしまい、切餅への実用化がためらわれる」という従来の課題を踏まえ、本件発明においては、当該切り込み部を「平坦上面」に設けるのではなく、「側周表面」に設ける構成としたことが記載されているが、一方で、本件明細書には、「載置底面」については、「平坦上面」に関する上記のような記載が明示的にされている箇所は見当たらない。 しかしながら、本件発明の対象が「焼き網に載置して焼き上げて食する輪郭形状が方形の小片餅体である切餅」(構成要件A)に限定されていること、このような切餅において、これを焼き網に載置した場合の状態として想定されるのは、別紙参考図面の図1のように直方体の最も面積の広い面を載置底面とした状態であるところ、その場合に、対向する二つの最も面積の広い面のうちのいずれを載置底面とするかは、あらかじめ定められていることではなく、切餅を焼き網に載置して焼く者がその都度無作為に選択するのが通常であることからすると、切餅における載置底面と平坦上面との位置関係は、自由に入れ替わることが本来的に予定されているというべきである。 そうすると、本件明細書中に、このような切餅において、切り込み部位が忌避すべき焼き上がり状態とはならないようにするために「平坦上面」に切り込み部を設けないことが記載されていることからすれば、本件明細書に接した当業者においては、「平坦上面」のみならず、これと自由に入れ替わることが予定された「載置底面」についても、同様に切り込み部を設けないことを要するものと理解するものと認められる。 したがって、原告の上記主張は、理由がない。 A裁判所は、構成要件Bの解釈を被告製品に次のようにあてはめました。 以上に認定した構成要件Bの解釈を前提に検討するに、被告製品においては、構成b2のとおり、その載置底面及び平坦上面に当たる下面16及び上面17のそれぞれほぼ中央部に、十字状に切り込み部18が設けられているから、切餅の載置底面又は平坦上面に切り込み部又は溝部を設けないことを要するものとされる構成要件Bを充足しないというべきである。 |
[コメント] |
@本判決は控訴審において覆されましたが、学ぶべき点が多いため、あえてレポートにまとめました。 A主な争点は、請求の範囲中の「切餅の載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に、この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設け、」中の「載置底面又は平坦上面ではなく」が“切り込み部又は溝部を設け”という動詞部分に係るのか、それとも“側週表面”という名詞部分に係るのかということです。 前者の解釈では、切り込みが切り餅の上下面に入ったものは除外され、後者の解釈では除外されませんのでことは大きな違いとなります。第一審は、前者の解釈を取り、そして第二審は後者の解釈を取りました。 Bなぜこのような争いが生ずるのかというと、特許出願人が作成した明細書では、広狭複数の発明が作用的に記載されており、それがどのような構成に結びつくのかが不明だったからです。 A発明というのは、一定の自然法則を利用して、一定の要件(例えば構成)から一定の結果(例えば作用・効果)を生ずるアイディアです。 しかしながら本件明細書では、例えば段落0032の発明の効果には、「本発明は上述のように構成したから、切り込みの設定によって焼き途中での膨化による噴き出しを制御できると共に、焼いた後の焼き餅の美感も損なわず実用化でき、しかも切り込みの設定によっては、焼き上がった餅が単にこの切り込みによって美感を損なわないだけでなく、逆に自動的に従来にない非常に食べ易く、また食欲をそそり、また現に美味しく食することができる画期的な焼き上がり形状となり…」と記載されていますが、 発明の要件に関して「上述のように構成したから」・「切り込みの設定によって」のように記載が省略されており、“上述のように構成”とは“切餅の上下面に切り欠きを設けた”構成を含むのかどうか、“切り込みの設定”とはどのような範囲・どのような向きで切り込みを設定するのかが判りません。 特許法第70条第2項には、特許発明の技術的範囲を原書に添付した特許請求の範囲に基づいて定める際には、「願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする。」と定められています。 すなわち、明細書中に“A+Bという構成としたから、Xという効果を発揮する”旨の記載があれば、発揮する効果Xから構成Bの意味内容を類推できます(もっとよいのは、構成Bの定義を特許出願人が明細書中に明記していることです)。 しかしながら、本件の場合には、請求の範囲中の「載置底面又は平坦上面ではなく」の意義を解釈しようとしても、この用語と発明の効果との結びつきを示す説明が少ないため、用語の意義を正確に解釈することができません。 従って読む人により解釈が分かれることになります。 B本件の場合には、発明の構成要件(前述の「載置底面又は平坦上面ではなく」を含めて)との関係を明示せずに、複数の効果を羅列したために、第1審では、「美観を損なわない」という作用効果を発揮しない係争物は技術的範囲から除外されるべきであるという主張を許しました。 こういうことを回避したいのであれば、特許出願の段階で、1つの請求項に記載された要件(構成など)から一つの効果が生ずるという形にすることが有意義だと考えられます。 |
[特記事項] |
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