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●事例1A [事件番号] 平成18年(行ケ)第10563号審決取消請求事件


新規事項の追加禁止/明細書等の補正

 [事件の概要]
  本件特許(第2133267号)の訂正では、先願発明と同一の部分を除外するために、除外の対象となる部分である引用発明の内容を、訂正前発明の成分(A)〜(E)に分説し、各成分に該当し得る成分の一部を消極的表現(いわゆる除くクレーム)によって除外しました。
 [裁判所の判断]
 訂正後の発明も成分(A)〜(E)の組み合わせのうち、引用発明の内容となっている特定の組み合わせを除いた全ての組み合わせの構成において、使用する希釈剤に難溶性で微粒状のエボシキ樹脂を熱硬化性成分として用いたことを最大の特徴としており、

 そしてエボシキ樹脂の粒子を熱硬化性プレポリマーが包み込む状態となるため、感光性プレポリマーの溶解性を低下させない、

 エボシキ樹脂と硬化剤との反応性も低いので現像性を低下させず、露光部も現像液に侵されにくくなるとともに組成物の保存寿命も長くなる

 という効果を奏するものと認められるから、

 引用発明の内容を除外することによって、訂正前の発明に関する技術的事項に何らの変化を生じさせるものといえないから、各訂正が本件明細書に開示された技術的事項に新たな技術的事項を付加したものとは言えない、と判断されました。
 [コメント]
判決は、訂正後の各成分の組み合わせにおいて訂正前後の発明の効果に違いがないから、除くクレームの採用が新規事項の追加とならないと結論しました。

 この判断は合理的だと思われます。

 「明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項」という文言は、明細書の中にある様々な記載を恣意的に継ぎ合せて思想を作り出してもよいという意味ではない点に留意すべきであると考えます。

 当該文言の解釈の有り方に関しては今後の判例の推移を見守る必要があるでしょう。
 
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