今岡ニュース

2014年10月6日(月曜日)特許ニュース

共同開発製品の一括審査


共同開発製品の一括申請・一括審査

今年10月1日の記事ですが、複数の企業が新製品に関して協調して開発をしたときに、関連する特許出願・意匠出願・商標出願の手続を一括して行い、優先して審査する制度を特許庁が導入するという報道がありました。

一つのアイディアの開発を複数の企業で行ったときには、共同の特許出願を行うのが通常ですが、それとは別に、例えば電気自動車に関して、電機会社が開発したモーターを特許出願し、自動車メーカーが設計した車体のデザインを意匠出願するような場合があります。従来は各企業が別個に特許出願、意匠出願をする必要がありましたが、新制度では代表会社が一括して出願を行い、これに対して特許庁も優先して審査を行うということです。

従来でも実施化が予定されている発明に関して早期審査のために事情説明書を提出するという制度がありますが、それを一歩進めたものとして、期待されます。

これまで2年以上かかった権利化までの期間を5ケ月程度に短縮するということです。

 私たち弁理士もこうした企業のニーズを考慮して対応する必要があるでしょう。通常の特許出願では、広範な権利を取得するために、一度は拒絶理由通知が来るのを想定して請求項1の範囲を広めに設定しておくことが普通です。しかし、それをすると5ケ月で権利化というのはまず無理です。特許出願当初の請求項1の範囲をどの程度にするのかということを、知財担当の方と話し合い、一括の申請なら常に5ケ月程度で特許が取れるわけでないということを判って頂く必要があると思います。

 審査を円滑に進めるためには事前の調査も重要であります。商標出願の場合には予め商標調査をすれば先行の登録商標はほぼ判明しますが、特許出願の場合には発明の新規性に関して世界公知主義を採っているので、先行技術を的確に把握することは大変です。しかし予想外の先行技術文献を引用されて、拒絶理由通知、拒絶査定不服審判の請求という手続に進むと、権利化までにえらく時間がかかることになります。


 
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