中韓文献翻訳・検索システムと特許調査 |
進歩性・特許出願/特許調査 |
特許庁のHPのニュースで本年11月13日から中国語及び韓国語の翻訳・検索システムの試行版の提供が開始されるという報道がありました。 最近においてこれら2つの言語での特許調査の重要性は増しています。特に中国における特許出願の件数の増加はめざましく、1997年には世界の特許文献の15%であったものが、2012年にはその60%を占めるようになっています。他方、日本の特許出願の件数は、1997年に58%であったものが、2012年には15%に低下しています。 この15年間に日本と中国との位置が入れ替わったことになります。特許出願は量だけでなく質も重要ですから、必ずしも特許出願の件数が両国の技術競争力を表しているとはいません。とはいえ、この傾向は特許調査の実務に今後大きな影響を与えると思われます。 日本の特許法の新規性・進歩性の規定は、世界中の特許文献を対象とする主義(世界主義)を取っています。しかしながら、特許出願の調査の実務は、対費用効果などの関係もあり、主として国内の特許出願等を対象としていたように思われます。我国の特許出願の件数が世界全体の特許文献の58%を占める時代にはそれでも良かったのでしょうが、その割合が15%に落ちているとなれば、国内の特許出願等だけを調べていて十分とは言えません。 今回の中韓文献翻訳・検索システムは、特許調査に便利なツールですが、それが導入されることで、自分の特許出願について中国・韓国の特許公報が引用され、進歩性なしで拒絶査定になるというリスクも増えると予想されます。 特許出願人の「困った」に対して解決策を提供するのが特許事務所の役割であるならば、韓文献翻訳・検索システムの試行版の導入に伴って、2つの言語による特許調査の方法について研鑚を深めなければならないでしょう。 |
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