今岡ニュース

2014年11月27日(木曜日)特許ニュース

技術革新に関する一考察/蓄電技術(燃料電池)の可能性


進歩性・特許出願

 最近、複数のメディアで燃料電池の技術において日本が世界をリードしているという話題が目立っています。週刊ダイヤモンド紙の10月25日号の特集によると、日本の燃料電池の特許出願件数は6万5000件余で、米国の3万件や中国の1万5千件、ドイツの1万2千件に大きく水をあけているということです。必ずしも特許出願の件数のみで技術力の優位性が図れるわけではないですが、日本企業へこの分野への注力がうかがえます。最近、中国の全特許出願の件数が日本のそれを大きく上回るというような報道が多かっただけに、我国も主要な技術分野ではまだまだ頑張っていることを確認できて、明るいニュースといえましょう。

 特許制度は、進歩性の高い基本的な発明の特許出願について特許が付与された後にも、当該発明の改良を奨励し、それによって産業の発展に寄与することを原理とします。もっとも一つの技術分野で改良発明の特許出願が繰り返されて、特許権の存続期間が満了した古い技術で需要者のニーズが満たされると、技術力による優位が発揮されにくくなるとも言われています。しかしながら、そうした産業分野でも新しい技術原理が導入され、或いは新たな用途が生ずると、次の技術革新が起こる可能性があります。電池はボルタの電池以来の大変古い技術ですが、燃料電池のアイディアが発見され、自動車等への適用が脚光を浴びました。

 発明の評価の指標としては、技術的な高度性(進歩性)がありますが、それだけではなくて、隣接する技術との相互関係もあります。例えば青色発光ダイオードの発明があれだけ世間で話題となった理由は、光の三原色のうち他の2色の発光ダイオードの発明が既に存在しており、残る青が揃えば、映像技術において大きな可能性が広がるからでした。そうした意味では、燃料電池に限らず、蓄電技術は産業発展の要となる技術であると言えます。現在ではさまざまな再生可能エネルギーの技術の研究が行われていますが、これらは不安定であるために、電力会社が買い取る現在のシステムでは過剰に買い取り過ぎると、安定した給電に支障を生ずる可能性があります。大規模な蓄電技術の実現があれば、他の再生可能エネルギーの技術も活きる訳であります。今後も蓄電技術の分野の動向を注目したいと思います。



 
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