今岡ニュース

2014年12月11日(木曜日)特許ニュース

近年のライセンス事情を見る/オープン&クローズ戦略とは


ライセンス/進歩性/特許出願・特許相談

 東京大学が「オープン&クローズ戦略」を中心とした最先端の知的経営戦略の講座を、来年5月から企業人向けに行うという発表がありました。

 このオープン&クローズ戦略というのは、権利保護と外部連携とを巧みに組み合わせたもので、アメリカのアップルの成長を支えたという戦略であります。

 具体的には、事業の中核を支えるコア技術を特許出願して取得した特許を基本特許と呼び、これに関してはライセンスを設定しない、しかしながら、それ以外の重要度の低い特許に関しては、外部に対して積極的にライセンスをして、ライセンス収益を得るということです。重要度といっても、発明の創作困難性(いわゆる進歩性)の高いものが直ちにコア技術になるという訳でもありません。

 アップルは、タッチパネルを用いたユーザーインターフェイスをコア領域として、標準化された技術を買うという戦略を立てたと言われます。コア領域に関しては排他権(特許権)で市場を独占しつつ、コア領域から外れた周辺技術については、競争会社にもオープンするのです。

 例えば独自のタッチパネルを有する通信機器を市場に出す場合、その製品は複数のコア技術を含んでいるのが通常です。タッチパネルの基本原理だけを特許出願をして特許権(コア特許)を取得したとしても、そのタッチパネルの主要部分に関する発明(要素発明)、そのタッチパネルを製造するときに生ずる固有の問題点を解決する発明(製法発明)など、製品化に関するハードルとなる技術が必要となります。そうした技術の特許を他社に取られてしまうと、他社の特許を、ライセンス料を支払って使用するか、或いは、他社の特許を迂回して実施化の途を模索しなければならず、事業の収益が減少します。従って、一つの特許出願をしたからOKというのではなく、将来の実施化の道筋をイメージして、ライバル企業に先回りして、関連するコア技術の特許出願をしていく必要があるのです。

 こうしたコア技術の特許出願をする場合には、特許出願の出願書類(明細書・特許請求の範囲)を作成する際にも、訴訟に勝つことを意識した守りの特許権を得るという意識を持つことが必要です。単純に文章の書き方の問題にとどまらず、先行技術に対する特許調査なども重要となることはいうまでもありません。従って、特許出願に関して特許相談を受けるときに、私達弁理士は、通常、この発明が事業においてどういう位置づけを占めるのかを質問します。

 特許相談をされる方には、予め、そうしたことを念頭において頂ければ幸甚であります。

 
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