国内メーカーの憂鬱
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産業の発達/進歩性・特許出願 |
12月7日の日経新聞の記事において、東京大学が創薬の研究開発で、また弘前大学がアルツハイマー病などの予防法の研究開発で、それぞれグローバル企業と連携するという報道がありました。また物質・材料研究機構も、フランスの企業などをともに先端材料の共同研究を行うということです。 こうした大学の研究の成果には、基礎的研究が多いとされ、技術の進歩の観点からすると、それらはダイヤモンドの原石のように貴重なものが含まれます。そうした基礎研究から、進歩性をクリアし得る多くの発明の特許出願が生まれる可能性があるからです。 大学の研究に関しては、1995年に「科学技術基本法」が制定され、多額の公的資金が投入されたという経緯もあります。また2004年の国立大学法人法によれば、研究成果の普及及び活用の促進が大学の一つとして明記されました。そうしたことを考えると、大学との研究はまず国内企業において役立たせるのが望ましいでしょう。事実、国内企業との産学連携に関しては、積極的に推進する政策が取られてきました。 しかしながら、リーマンショック後に企業が特許出願や研究に投じる資金は頭打ちとなりました。結果として、研究機関の側から見ると、折角の研究成果を国内企業が実施してくれないと無駄になってしまうという懸念が生じているということです。 我国の国立大学や研究機関は、我国の産業活動を牽引する重要な役割を持っていますが、その共同開発の連携先を国内に限定してしまうと、結局、研究の進歩の度合いが遅くなり、結局、国際競争力を向上させるという趣旨に反することになる可能性があります。そういう意味では、国立大学や研究機関の連携先がグローバル化するのは止むをえないことでしょう。 |
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