今岡ニュース

2014年12月18日(木曜日) 特許ニュース

特許の価値をどうはかる?


経済指標/進歩性/特許出願の実体的要件

 特許の価値をどう評価すればいいのでしょうか?

 一昔前であれば、発明の技術的な価値の高さということを皆が思い浮かべるでしょう。発明の評価としては、少なくとも特許出願の要件としての進歩性をクリアすること、そして進歩性の水準を超えて技術の程度がさらに高ければそれに超したことはない、と。

 そういう評価は現在でもあります。例えば被引用件数、すなわち、後願の特許出願の進歩性などの実体審査で当該特許出願に係る発明の新規性・進歩性を否定するために何回引用例として引かれたかをカウントする方法です。

 しかし、それとは別に経済的な価値を図る物差し−経済指標−が昨今注目を集めています。本年12月12日の日経新聞では、特許の経済指標としてYK値というものが紹介されています。これは、一言でいうと、排他権としての特許権の存在意義を評価するものであり、特許出願され、特許にもなっています(特許5273840号)。特許公報をみると、この特許発明は、時間の経過により技術が陳腐化する度合いを評価するという手法と、手段と、当該特許に対して取られた法律的手続に関連するコストにより特許を評価するという手法を用いています。

 技術の陳腐化を評価する手法としては、特許の価値は、特許出願の日から20年を経過した日にゼロとなる(∵特許権の存続期間が満了するため)とし、その日に向かって徐々に低減していくと考えます。低減の度合いを計算する手段として正規分布を用います。何故なら、特許はそれぞれ進歩性の判断がなされて成立しているために、ある特許が陳腐化することで他の特許が陳腐化することはなくなることがないからです。

 そして特許のコスト計算としては、他人が当該特許権を潰すために取った法的措置(無効審判など)に要した費用を計算するとされています。実経済において他社の経済活動の邪魔になる特許ほど、排他権としての意味が大きいという考え方です。たとえば青色発光ダイオードの発明についても、特許後に異議申立が行われていました。このように特許をつぶすための費用が発生すると、それが法的措置のコストに算入されます。

 こういう経済指標を考えるのはきっと経済の専門家か経済コンサルティングだろうと推測していたのですが、そうではなくて、ある弁理士さんがお考えになったのだそうです。

 知財の世界も目まぐるしく変化しているようです。


 
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