今岡ニュース

2014年12月4日(木曜日) 特許ニュース

小惑星探査機の成功に看る、諦めない心


イオンエンジン/進歩性・特許出願

 天候不順で国民をやきもきさせていた、小惑星探査機“はやぶさ2”の打ち上げですが、昨日無事に軌道に乗ったと報道がありました。

 前回の“はやぶさ”は小惑星イトカワから微粒子を持ち帰りましたが、今回の“はやぶさ2”は、有機物や水があると言われる別の小惑星を目指すのだそうです。これで小惑星の研究に進歩がもたらされることを祈ります。

 これも、報道で得た知識に過ぎないのですが、“はやぶさ”及び“はやぶさ2”は、通常の化学燃料エンジンの他、遠距離用のイオンエンジンというものを積んでいます。イオンエンジンは、ガスをイオン化して、+イオンを、−の電極に向けて加速させるとともに電極にぶつからないような工夫を施し、外へ放出させて出力を得るものです。この発明は、日本及び欧米へ特許出願され、創作困難性(いわゆる進歩性)が認められて特許された、日本が世界に誇る固有の技術なのです。

 もっとも幾ら優れた技術であっても、先の“はやぶさ”の旅は、困難の連続であったそうです。まず最初に化学燃料エンジンから燃料漏れが生じ、次に探査機の姿勢を保つ機構が故障して探査機自体の回転が止まりかけ、さらに化学燃料エンジン全部が故障して探査機を広い宇宙の中で見失い、奇跡的にはやぶさを発見して地球への軌道に乗せたとおもったら、今度は4つのイオンエンジン全部が故障したのであります。そうした困難の度に日本の技術者達は、信じられない、そこぢからを発揮し、事態を克服しました。これはもう、“絶対に諦めない”という執念としか言いようがないでしょう。

 “絶対に諦めない”と口で言うのは簡単ですが、挫けそうになる苦境は誰にもあります。はやぶさの一番の成果は、もしかしたら、科学的な業績ではなくて、そうした技術者魂を国民に見せつけたことだったかもしれません。はやぶさシリーズの成果により、技術者を目指す若者が増えれば良いな、と、ふとそんなことを考えました。


 
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