特許連合とパテントトロール
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弁理士と特許出願 |
最近特許業界で話題になっているものとして、パテントトロールがあります。パテントトロールというのは、自らは発明の実施である事業を行わずに、専ら他社の事業に対して訴訟を提起し、利益を上げる会社のことです。これにより訴訟件数が増大し、米国内で大きな社会問題となっています。個人的には、企業がアイディアを育み、その実施するための武器を特許出願により獲得することのお手伝いをするのが弁理士の社会的意義と思っておりますので、訴訟専門の事業体の出現には驚きを禁じ得ません。 少し前のことになりますが、本年7月頃に米国でいわゆるパテントトロールによる特許訴訟に急増している中で、キャノン、米グーグル、独ソフトウェア大手のSAPなどが訴訟を防ぐための特許連合を作ることを合意したという報道がありました。 具体的には連合に加盟する企業が外部に特許を得る際に、事前に連合内の他の企業に特許の実施権を与えるというものです。その実施権者は、その後に特許権を譲り受けた企業に対して対抗できます。 日本にも同様の規定があります。特許法第99条の「通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。」というのがそれであります(通常実施権の対抗力)。従って、将来パテントロールが日本を席巻することがあっても、上述のような特許連合を組織することは可能でありますが、願わくばそういうことが起こらないことを祈るばかりであります。 |
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