大学の開放特許と特許出願業務
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開放特許の活用を想定した明細書等の書き方 |
日本経済新聞の9月20日付けの記事として、大学が所有する開放特許を、東京都内の信用企業等と協力して中小企業へ紹介する産学協同の取り組みが始まるという報道がありました。開放特許とは、各大学が大手企業と共同で取得した特許のうち他社も使えるものを指します。この取り組みにより、有効に使われていない特許の活用が図られ、産業活動の活性化が図られると期待されます。 特許法は、発明者が特許出願によって国に開示した発明を公開し、発明の公開の代償として特許権を付与することで、技術の累積的な進歩を促し、発明の保護及び利用の調和を図ることで産業の発達に貢献することを使命としています。そして、特許権者が発明のために投入した資金を回収するためには、発明の実施による利用が重要です。 従って弁理士が特許出願業務に関わるときには、発明がどのように実施されるのかを想定して明細書及び特許請求の範囲を作成することが求められます。特許出願人となる方の事業の業態や商材などを考慮して、権利化を求める範囲を定め、保護したいビジネスの形態に対応して、発明の実施形態を挙げるようにします。そうしなければ、特許権はとれたものの、実施化局面で使い勝手の悪い権利になるからです。 大学が特許出願をする場合には、大学自体が発明の実施としての事業をしていない場合が多いと思われます。将来、開放特許を第三者に対して実施許諾(又は譲渡)させることが予定されるということであれば、我々弁理士は、将来どのような方面で実施化を図るのかということに関して、特許出願人となる大学の意思を汲み、担当者とよく相談しておく必要があると考えます。 |
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