職務発明制度の見直し
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職務発明と明細書 |
政府は、6月上旬に「知的財産政策に関する基本方針」を閣議決定し、職務発明の有り方の抜本的な見直しをすると発表しました。従来、研究職などにある使用者が雇用者の業務範囲で職務発明をしたときに、特許を受ける権利は原則的に発明者に帰属し、雇用者は職務発明について通常実施権を取得するに過ぎませんでした。 しかしながら、一般的には、雇用契約において、発明者は雇用者に特許を受ける権利を雇用者に優先的に譲渡するべきことが定められ、ほぼ100%会社に帰属します。その代わりに、発明者は、特許を受ける権利を雇用者に譲渡させたことの対価を受けることができます。 過去には、「青色発光ダイオード裁判」のように高額の対価を巡って争いが生じたケースもあります。特許を受ける権利が発明者に帰属したままだと、「対価」がどれほどになるか予想ができないという産業界からの要請もあったようです。 もっとも特許出願の明細書を作成する弁理士の立場からいうと、発明者の方が技術の核心を開示することにどれだけ熱心であるかということが非常に重要です。発明者が事務的に発明内容を説明するだけであると、なかなか質の高い明細書を作成することはできません。技術者の方は大抵が勤勉であって、仕事であればきちんと発明届出書を作成するものと思われます。それでもあと一歩頑張るかどうかというところが後々大きく響くものです。 発明者の方の熱意を損なわないように新しい制度においても、発明者の方の努力を積極的に評価するようなあり方を考えて頂きたいと思います。 |
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