今岡ニュース

2015年5月25日(月曜日)特許ニュース

USPTOと日本特許庁とのコラボレーション


特許出願/特許調査

 米国特許商標庁(USPTO)は、5月21日付けの同庁のHPでの記事で、USPTOと日本国特許庁との間で、二か国間のコラボレーション・サーチ・パイロット(CPS)プログラムを開始することを合意したという発表をしました。

 このプログラムの利点は、日米の特許出願人に対して最善の、最も関連する分野の先行技術の情報を提供できるということです。すなわち、実体審査が開始される以前の段階で日米の先行技術調査の結果を合体させて特許出願人に知らせるというものです。こうした取り組みは、単に特許出願人に対して審査期間の短縮と特許の質の向上とを約束します。

 何を言っているのかというと、各国の特許庁の審査資料にはバラつきがあって、同じアイディアを各国に特許出願しても結果は異なるということなのです。それを如実に実感させるのが特許国際分類(IPC)の分類方法であって、分類の分野毎に細かく区分されている領域とそうでない領域とがあります。IPCは、その成立当初に特許調査の分類が進んでいた欧州、特にドイツの分類方式を踏襲したといわれています。それらの地域・国で多数の特許出願がある分野では細かく区分が設定され、そうでない分野では大ざっぱな区分となります。我国の独自の産業界に独自の技術の特許出願を各国に行った場合に、先行技術の資料が十分に整っていないために、特許になってしまう可能性があるということなのです。

 海外に特許出願をして簡単に特許になるならいいじゃないか、という声も聞こえてきそうですが、特許を取得して、特許の裏付けのもとで事業展開していたところ、特許が無効とされるということになると特許出願人は非常な痛手を被ります。それくらいであれば各国特許庁間の情報交換により質の高い審査を提供した方が結局特許出願人にとっては有利なのではあるまいか、というのがCPSプログラムの考え方です。

 このプログラムは、USPTOのFull First Action Interview Pilot Program(フル・ファーストアクション・インタビュー・パイロット・プラグラム)に基づくものです。

 なお、同日付けでUSPTOと韓国特許庁との間でもCPSプログラムに関する合意があった旨の報道がありました。CSPは、世界の主要5か国・地域の特許庁の集まりであるIP5の会合で採用されたものです。今後は単に二国間の取り決めでこうした取り組みを行うだけでなく、多国間で各国特許庁の情報が共有されることが期待されます。


 
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