体系 |
商標制度に関する事項 |
用語 |
商品 |
意味 |
商品とは、商標法上において、取引対象として流通過程にのる代替性のある有体動産をいうと解釈されます。
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内容 |
@商標権は、商品又は役務(以下「商品等」という)に商標を独占排他的に使用する権利であるので(商標法第25条)、商品等の概念は、商標法上重要です。
商品に使用する商標(以下「商品商標」という)は、主として商品や包装に付されて、商品とともに市場を流通し、例えば生産者甲→取引者A→取引者B→需要者乙というように譲渡が繰り返される毎に出所(甲)を表示する機能を発揮します。
従って、こうした機能から合目的的に商品の概念を解釈するべきです。
A商品の特性 (イ)取引性
例えば電化製品の販売業者が配る広告用のティッシュは、取引の対象でないので、商標法上の商品ではありません。
広告用のティッシュは、それ自体の商取引の対象ではないからです。
(ロ)流通性
例えばレストランが提供する料理の如く、取引者を介して流通しないものは、商標法上の商品ではありません。(※1) →商品の流通性とは
但し、料理を提供する行為を役務(サービス)として商標の出願をすることができます。
(ハ)代替性
例えば書道の作品など、代替性のないものは商標法上の商品ではありません。
一品限りの取引では、業務上の信用を生ずるほどに業務上の信用が化体することが少ないからです。
(ニ)有体性
電気等の無体物、財産を表すに過ぎない有価証券は、商標法上の商品ではありません。
他方、ガス・水等の無体物を容器に収めるときには、商標法上の商品たり得ます。
(ホ)原則として動産であること。
代替性の土地・家屋などは商標法上の商品ではないと解釈されます。
B商品の取り扱い
(イ)商標出願人は、願書に商標を使用しようとする商品・役務を指定しなければなりません。
(ロ)商品の指定は、政令で定める商品及び役務の区分に従っておこなわなければならず、例えば“健康食品”のような恣意的な指定はできません。
(ハ)商標権が設定されたときには、指定商品毎或いは指定役務毎に使用権を設定することができます。
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他法との関係 |
特許出願の対象である発明は、一定の構成から一定の効果を発揮するものであり、その効果の内容から自ずと発明の使い道(用途)が決まります。新規化合物を創作したが、何の役に立つのか分からないという場合には、発明としては未完成であり、用途が新たに発見された時点で発明として完成すると言われています。(※2)。
商標出願の手続では、出願の対象である商標、及びそれを用いようとする範囲(用途)である商品・役務を、それぞれ別個に願書に記載することにしています。
これは、商標が商品・役務の識別を本質とする目印であり、その商品等の普通名称などに該当するものでない限り、およそ如何なる商品等にも使えないことはないからです。
それ故に、商品や役務を間違って指定すると意図する範囲と全く違う保護範囲を対象とすることになるので、それらの指定には注意が必要です。
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参考図書 |
(※1)…網野誠著「商標」 (※2)…吉藤幸朔著「特許法概説」
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