内容 |
①“業として”の意義
(a)特許出願をする意味は、特許権を取得して発明の保護を得ることであり、特許権の効力とは、“特許権者は、業として特許発明を実施する権利を専有する。”ことです(特許法第68条)。
(b)旧特許法(大正10年法)は、特許権の効力に関して“業として”という限定をしていませんでした。
しかしながら、社会の実情としては、個人的な実施に特許権の効力を及ぼすのは行き過ぎであるという批判がありました。
また、特許法の目的は、特許出願人が開示する発明を社会に公開する代償として、独占排他権を付与することにより、産業の発達に貢献することです。従って、産業活動に限って独占排他的効力を認めるのが制度目的に沿うとも言えます。
(c)従って、特許法は、特許権の効力の規定において、“業として”という要件を導入しました。
②“業として”の内容
(a)“業として”とは、事業としての意味であり、個人的な実施は該当しません。
例えば事業者が、コインランドリーの事業において洗濯機を使用することは“業として”の実施ですが、個人の家庭で洗濯機を使用することは“業として”ではありません。
(b)“業として”とは、営利目的であることを要しません。
従って、公共事業として干拓事業に竣工機を使用することも業としてに該当します。
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