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@仮保護の権利の意義
平成6年の改正前には、審査官が特許出願に係る発明について新規性・進歩性などの特許要件の審査をし、拒絶理由を発見しないから特許をしても良いという一応の心証を得た段階で、当該特許出願の内容を公開(出願公告)していました。
そして、何人も当該特許出願に特許を付与することに関して異議申立(付与前特許異議申立ができることにすることにより、公衆をして特許出願の審査に参与せしめ、公衆の審査協力により、キズのある特許が発生することを未然回避していました。
こうした制度は、安定した特許権の付与に貢献していましたが、特許出願の流れの中で公衆を審査に参与させるために特許権が成立する時期が遅れる可能性があり、これにより特許出願人の利益が害されることを防止するために、特許権とほぼ同様の保護を与える仮保護の権利を付与していました(旧52条第1項)。
しかしながら、平成6年の改正により、特許異議申立てが特許付与前の制度から付与後の制度に移行したことに伴い、仮保護の権利は出願公告制度とともに廃止されました。
A仮保護の権利の内容
(a)権利の主体は、特許出願人です。
(b)権利の客体は、特許出願に係る発明(特許請求の範囲に記載された発明)です。
従って、仮保護の権利の客体は、特許出願人が特許請求の範囲を補正することにより変動します。
(c)権利の発生・消滅
仮保護の権利は、当該特許出願について出願公告がされることにより発生し、特許権の設定の登録が行われることで消滅します。
(d)権利の効力
・仮保護の権利の侵害に対して、差止請求・損害賠償請求権などの特許権とほぼ同等の救済が与えられますが、権利を行使したのちに当該特許出願について特許権が設定登録されないなどの事情が生じた時には、特許出願人は権利の行使により相手方に与えた損害を賠償する責任を負います(旧52条第4項)。
→仮保護の権利の性質
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