内容 |
①職権探知主義は、審判官が当事者の申立を待たずに事実を探知し、又は職権で証拠調べをすることができるという主義です。
②これは、特許法の審判手続が民事訴訟と著しく異なる点です。単に当事者間の紛争解決を図る民事訴訟では、当事者が争わない事実にまで介入する必要がありません。これに対して審判は、特許権が対世的効力を有するために、当事者が主張する事実や提出した証拠だけで判断すれば公衆の利益を害するおそれがあるからです。
③具体的には審判官は、当事者が申し立てない理由に関して審理することができます。例えば無効審判の請求人が誤って先願主義違反を主張しても、審判官は発明の進歩性の欠如を審理できます。
④もっとも審判官は、当事者が申し立てない理由に関して審理をしたときには、その結果を当事者に通知し、意見を申し立てる機会を与える必要があります。
⑤他方、審判官は、当事者の申立がない請求の趣旨を審理することができません。例えば訂正審判においては、訂正の可否に関しては広範に審理できますが、特許の有効・無効まで判断することはできません。審理権の範囲を超えるからです。
⑥拒絶査定不服審判において、特許出願の審査で現れなかった先行技術を審判官が探知し、審理できるのはいうまでもありません。特許出願の審査の続審だからです。
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