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権利内容 |
用語 |
侵害訴訟における書類の提出とは(特許法第105条) |
意味 |
裁判所は、特許侵害訴訟において、当事者の申立により、当事者に対して、損害賠償額の立証等に必要な書類の提出を命ずることができます。
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内容 |
①無体物である特許発明は事実上の占有が不可能ですので、他人が特許発明を正当な権限なく実施してもどの程度実施したのかが特許権者等には判りません。そこで当事者の立証責任の軽減を図るために書面の提出等の規定が定められました。
②申立の主体は、侵害訴訟原告及び被告双方です。
③申立の対象は、侵害額の算定に必要な書類の他、「侵害行為について立証するために必要な書類」を含みます。
④提出命令があったのにも関わらず当事者が書類を提出しないとき、又は相手方の使用を妨げる目的で書類を滅失したときは、裁判所は、相手方の主張を真実と認めることができます。
⑤書類の所持者は、正当な理由があるときには、その書類の提出を拒むことができますが、正当な理由があるか否かを確認するためにインカメラ手続が採用されています。
⑥本規定は、補償金請求権(出願公開後特許権設定前の特許出願に係る発明の実施に対して補償金を請求できる権利)に援用されます。
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留意点 |
①に関して、書類の提出規定は民事訴訟法第220条にもありますが、同条は、“当事者が訴訟において引用された文書を自ら所持するとき”など一定の場合にのみ適用されます。本条は民事訴訟法の規定を充足しない場合にも適用できます。
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