体系 |
民法 |
用語 |
要素の錯誤の態様 |
意味 |
要素の錯誤とは、その錯誤がなかった場合には意思表示が行われなかったであろうと考えられるような重大な瑕疵であり、意思表示の無効の理由となる可能性があるものを言います。
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内容 |
@要素の錯誤の意義
民法の原則の一つである契約自由の原則は、当事者の合意の上に成り立ち、従って合意事項に関して錯誤があれば、契約の有効性に関わる問題となります。その反面、安易に要素の錯誤による契約の無効を認めると取引の安全を害することになります。
そうしたことから、司法は要素の錯誤による契約無効を合理的な理由が存在する場合に限って認めています。
A要素の錯誤の態様
要素の錯誤論では、一般に要素の錯誤を次の3つに分類しています。しかしながら、これらに該当するから直ちに契約が無効となるものではなく、個々の事案に具体的な状況に応じて無効と解釈することが妥当であるかどうかが判断されます。
(a)動機の錯誤
意思表示の動機が錯誤に基づくものを言います。要素の錯誤の要件に関して相手方の悪意又は有過失が存在し、それにより錯誤を生じた場合に限って無効となるというのが学説上の多数説であると言われています。
例えば特許発明を特定の用途に使用することを目的としてライセンサーがライセンシーに告げ、ライセンサーが特許発明を当該用途に使用できない可能性があるのにそのことを説明せずにライセンス契約に至った場合です。
→要素の錯誤のケーススタディ1(仏具人天蓋事件)
例えばライセンス契約の対象である発明が全く実施不可能である場合には、実施できると錯誤したので契約は無効であると主張すれば認められる可能性があると言われていますが、発明が特許出願され、審査を経て特許を付与された場合には、そうした状況は生じにくいと考えられます。
(b)表示上の錯誤
錯誤により誤った表示をしてしまった場合をいいます。典型的に例としては、1ドルと書くつもりで1円と記載した場合が相当します。
(c)教示行為の内容の錯誤に関する錯誤
法律行為の内容を錯誤することをいいます。典型的な例としては、1ドルのものを1円と誤認して錯誤した如きです。
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留意点 |
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