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1119 瑕疵担保責任/特許出願/ライセンス |
体系 |
民法 |
用語 |
瑕疵担保責任 |
意味 |
瑕疵担保責任とは、売買などの有償契約で、その目的物に通常の注意では発見できない欠陥がある場合に、売主などが負うべき賠償責任をいいます。
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内容 |
①瑕疵担保責任の意義
(a)有償契約において給付された目的物や権利関係に瑕疵がある場合には、契約の一方当事者(給付した側)には損害賠償等を負担する責任を負います。当事者間の公平を図るためです。
(b)こうした責任を“担保責任”といい、その態様として、物を対象とする担保責任(民法570条)と権利を対象とする担保責任(民法560条)とがあります。そして前者を瑕疵担保責任といいます。
(c)民法第570条は、“売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合はこの限りでない。”と規定しています。
(d)そして民法566条の規定とは、次の条件が満たされるときには、買主は契約を解除することができる(契約を解除できない場合には損賠賠償を請求することができる)というものです。
・売買の目的物が質権などの目的である場合において、買主がこれを知らないこと
・そのために契約をした目的を達することができないこと
(e)なお、民法第570条の“隠れた”とは、相手方が取引上において一般に要求される程度の注意をもって発見できないことをいいます。
また同条の“瑕疵”とは、取引通念から見てこの種の物が通常であれば有するべき品質・性状を有さず目的物に欠陥が存在することをいいます。
→隠れた瑕疵とは
(f)瑕疵担保責任の規定は強行規定ではないため、契約の当事者がこれと異なる条項に合意したときには、適用されません。
→任意規定のケーススタディ1
(g)不特定物の販売に関して瑕疵担保責任があるかどうかに関しては争いがあります。
→不特定物とは
②瑕疵担保責任の内容
(a)知的財産権の関係では、実施不可能な発明を特許出願し、当該発明に対して付与された特許権に基づいてライセンス契約が締結されたような場合が想定されます。
いうまでもなくライセンシーは実施をするためにライセンス契約を締結したのですから、実施できないという欠陥は“瑕疵”であります。また特許出願の明細書には“発明の技術分野の置ける通常の知識を有する者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載した”ことが要件とされているにも関わらず、技術の専門家である審査官が特許出願を拒絶しなかったのであれば、ライセンシーが通常の注意を払っても発見し得ない、“隠れた”瑕疵であったと判断される可能性があります。
→瑕疵担保責任のケーススタディ1
(b)これに対して、発明が技術的に実施できないのではなく、特許出願の先後の関係で別の特許権者の許諾を得なければ実施をすることができないとか、行政庁の許認可や型式認定を受けなければ実施できないというような場合には、瑕疵担保責任の問題ではないと判断した事例があります。
→瑕疵担保責任のケーススタディ2
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留意点 |
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