内容 |
①法の適用順位の決定規範の意義
(a)裁判官は、ある事象に法律を適用しようとする場合には、その事象に関係する分野から、適用する法規を選び出し、これを文理解釈或いは場合により条理解釈して、当該事象を当てはめます。
この場合に適用し得る法規が一つだけなら問題ないのですが、複数の法律が適用候補として見つかった場合には問題があります。こうした場合には、何らかの規範(基準)に従って事象に適用するべきだた一つの法律を決定しなければなりません。
(b)こうした規範として次のものがあります。
・上位法令優先の原則
憲法>一般の法律>政令という順序で優先順位を指定する規範です。
・特別法優先の原則
ある事情に関して一般法と特別法とが適用可能である場合に、後者を優先して適用する規範です。
・後法優先の原則
ある事情に関して前法と後法とが適用可能である場合に、後者を優先して適用する規範です。
②法の適用順位の決定規範の内容
(a)我が国の場合には、最上位の法令として、憲法があり、その下に民法、特許法・実用新案法・意匠法・商標法、独占禁止法の普通の法律があり、各法律の下に政令などが設けられています。
(b)民法と特許法とは上下関係において同格であり、同格同士の法律の間ではさらに特別法優先の原則や後法優先の原則に従って適用の優先順位が決まります。
(c)例えば特許法では、外国に住む者が我が国に対して特許出願などの手続をするために特許管理人という代理人が定められています。この代理人の権限に関しては、一般法である民法の規定の適用を排除して、特別法である特許法の規定が適用されます。
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