内容 |
①施行法の意義
(a)法律を施行することは、社会のルールを変更することなので、無用の混乱が起こらないようにする必要があります。
(b)例えば施行の開始時期を調整したり、或いは廃止される制度に関して誰かが不利益を被らないように経過措置を設けるなどです。
(c)こうしたことは、法律を施行する上で重大な意味を持つため、法律として立法機関が決めます。
(d)これに対して、施行令や施行規則は法律では定めることができない細かい内容を定めるものであり、行政機関が決めます。
②施行法の内容
(a)例えば特許権の存続期間は、従来では「出願公告の日から15年とする。但し、特許出願の日から20年を超えてはならない。」と定められていましたが、TRIPS協定上の要請に応えるために、“特許権の存続期間は特許出願の日から20年で終了する。”
(但し期間の開始は設定登録の日)というように平成6年に改正されました。
(b)施行法によると、この法律は平成7年7月1日から施行されるともに、この法律の施行前に存続期間(存続期間の延長登録に係る特許権に関しては、当該延長登録前の存続期間)が満了した特許権、及び、旧特許法第75条にいう独立の特許権については適用しないとされています。
(c)この施行法の定めの趣旨は、特許権の存続期間の満了により一旦消滅した権利が法律の改正により復活することは産業の活動を阻害するので許されないということにあります。しかしながら、そういう立法趣旨からは、延長登録により延長された特許権の存続期間に関しては、権利が消滅していないのだから新しい法律を適用するべきという考え方と、それでは延長登録されていない特許権者に不公平という考え方とが対立して、無用の紛争を生ずる可能性があります。そうした紛争を未然に防止するために施行法で施行の条件を細かく定めているのです。
(d)なお、前述の施行法中の“独立の特許”とは、昭和60年に廃止された追加の特許という制度に関連するものです。主特許権が特許権の存続期間の満了以外の理由で消滅した時に、主特許権に従属する追加の特許権は従属性を解除され、独立の特許権となる旨の規定が置かれていたことを反映しています。
→追加の特許とは
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