体系 |
民法 |
用語 |
種類物 |
意味 |
種類物とは、物としての個性を持たず、債権の目的物を種類と数量のみを指定できる物を指します。
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内容 |
①種類物の意義
(a)種類物とは、例えば牛10頭という如く、数量により譲渡等の契約の内容を指定できる物であり、物の個性を持たない物です。本当にそれぞれの物としての違いがない訳ではないのですが、それを敢えて無視して物の種類と数量だけで契約を行おうとする場合に、その対象を種類物と言います。
(b)種類物は、不特定物の別称です(→不特定物とは)。
(c)不特定物又は種類物は、その種類物がこの世の中に存在する限り、履行不能にはなりません。
(d)種類物の給付を目的とする債権を種類債権と言います(→種類債権とは)。
②種類物の内容
(a)特許出願の対象である発明は、無体物であり、一般論としては個性を有するものです。
特許出願の願書に添付する特許請求の範囲に当該発明を特定する事項を定めなければならず、“△△件の特許出願何件”の譲渡のような契約の形態を観念しにくいからです。
もちろんA社が保有する特許及び特許出願全部の譲渡という形は有り得ますが、それは別の話です。
(b)例えば特許出願人の発明についてライセンス契約が締結された後に出願審査請求をしなかったために、当該特許出願が取下げ擬制されたような場合には同じ物を提供するということができないために、実質的な債務の履行不能に陥る可能性があります。
こうした事態を避けるために、特許出願の手続を遂行する義務がライセンサーに課されることがあります。 →特許出願手続の遂行義務
(c)これに対して、特許出願の発明が製品化され、同一の発明品が量産される場合には、同種の物が入手可能であるので、種類物となります。
従って倉庫に保管していた発明品が火災などにより失われても同一の発明品を生産して提供すれば良いので、不履行とはなりません。
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留意点 |
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