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@排他権説の意義
(a)特許権の本質に関しては、講学上、専用権であるとする説と、排他権であるとする説とがあります。 →専用権説とは
(b)排他権の立場は、特許法第72条(他人の特許発明等との関係)は特許法第68条(特許権の効力)の例外規定と解釈するべきではなく、特許法第92条(自己の特許発明の実施をするための通常実施権の設定の裁定)を導き出すための年のための規定に過ぎない、というものです。ちなみに、
・特許法第68条は、「特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲についてはこの限りではない。」というものであり、
・特許法第72条の規定は、「特許権者、専用実施権者または通常実施権者は、その特許発明がその特許出願の日前の出願に係る他人の特許発明、登録実用新案若しくは登録意匠若しくはこれに類似する意匠を利用するものであるとき、又はその特許権がその特許出願の日前の出願に係る他人の意匠権若しくは商標権と抵触するときは、業としてその特許発明を実施することができない。」というものであり、
・特許第92条は、「1.特許権者又は専用実施権者は、その特許発明が第72条に規定する場合に該当するときは、同条の他人に対しその特許発明の実施をするための通常実施権又は実用新案件若しくは意匠権についての通常実施権に協議を求めることができる。(中略)3.第1項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、特許権者又は専用実施権者は、特許庁長官の裁定を請求することができる。」というものです。
(c)排他権説の骨子は、発明者は特許権の設定をまつまでもなく本来自己の発明を自由に実施できる権能を有するのであるから、特許出願人に対して設定登録によって生ずる特許権は、他人に実施をさせない権利、すなわち、排他権に過ぎないというものです。
A排他権説の内容
(a)排他権説を採る論者は、特許ライセンスに関して、“ライセンサーはライセンシーに対して差止請求をしないという不作為義務(消極的義務)を負うに過ぎない。”という立場をとる傾向があります。
(b)ちなみに米国では、ライセンスの性質は特許権者による差止請求権の放棄と理解されています。
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