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1176 再実施権とは/特許出願/特許ライセンス |
体系 |
権利内容 |
用語 |
再実施権 |
意味 |
再実施権とは、特許権者から実施権の設定・許諾を受けた者が他人に対して再び許諾した実施権を言います。
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内容 |
①再実施権の意義
(a)特許出願をすることの意味は、特許権の設定登録を受けて、特許発明を業として独占排他的に実施する権利を享受することですが、当該特許発明の利用の仕方として、次の2つが考えられます。
・特許権者自ら特許発明を実施すること。
・特許発明を実施する権利を他人に設定又は許諾すること。
そして2番目の選択肢の権利は、実施権者が実施権を許諾する再実施権が含まれます。
(b)特許法第77条第4項には、「専用実施権者は、特許権者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権について質権を設定し、または他人に通常実施権を許諾することができる。」と定められています。
(c)通常実施権者が再実施権を許諾することに関しては、特許法上では規定されていませんが、特許権者とのライセンス契約において、ライセンシー(通常実施権者)が再実施許諾をすること(→サブライセンスとは)を特約で定めることは、法律上禁じられていません。
②再実施権の内容
(a)専用実施権に基づく再実施権に関して
(イ)再実施権の種類は、債権的権利である通常実施権に限られます。
特許法第77条第5項に「通常実施権を許諾することができる。」と規定されていることから分かるように、再実施権として専用実施権者が他人に付与できるのは、通常実施権に限定されています。
専用実施権は、用益物権的な権利ですので(→用益物権とは)、物権の一種ですので、法律の規定に依らずに、成立することはありません(→物権法定主義とは)。
(ロ)再実施権の成立要件として、「特許権者の承諾を得た」ことが必要です(5項)。
(ハ)再実施権の範囲に関しては、特許法第77条第2項に「専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明を実施する権利を専有する。」と定められていることから、この範囲で再実施権を許諾できます。
(b)通常実施権に基づく再実施権に関しては法律上の規定はありませんが、その種類に関しては、前記(a)(イ)で述べた理由により、当然に通常実施権に限られ、
成立条件の関しても、特許権者との間での特約が必要ですので、サブライセンスをすることの合意が前提となります。
再実施権を許諾できる範囲は、特許権者との合意で定めた範囲です。
再実施権を許諾する旨の特約付きの通常実施権を再実施権付き通常実施権ということがあります(→再実施権付き通常実施権とは)
(c)再実施権の内容に関しては、例えば“前記実施権(再実施権付き通常実施権)の契約に定めた実施権者と特許権者との間の権利義務関係は、それぞれ再実施権者等に引き継がれる。”と定めておくと権利関係が明確になります。
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留意点 |
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