今岡憲特許事務所マーク

トップボタン
 パテントに関する専門用語
  

 No:  1195   

相当利益請求権/特許出願/職務発明

 
体系 特許申請及びこれに付随する手続
用語

相当な利益の請求権

意味  相当な利益(対価)の請求権とは、契約、勤務規則その他の定め(職務発明規程)により、使用者等が職務発明についての特許を受ける権利を原始的に取得し、或いは特許を受ける権利又は特許権を従業者等から承継し、特許権者である従業者等から専用実施権の設定を受け、若しくは特許出願人である従業者等から仮専用実施権の設定を受けたことにより専用実施権が設定されたものと擬制された場合の見返りとして、従業者等がそれに相当する利益を請求できる権利を言います(特許法第35条第4項)。


内容 @相当な利益の請求権の意義

(a)特許法第35条第1項は、職務発明の成立にそれぞれ寄与した従業者等及び使用者等の利害を調整するために、前者に特許を受ける権利(特許出願ができる権利)の原始的取得を認めることを前提として(特許法第29条第1項柱書)、後者に法定通常実施権を認めました(→法定通常実施権とは)。

(b)しかしながら、技術開発に多額の投資が行われる昨今の状況では、使用者側にとっては法定通常実施権の取得だけで満足することは出来ず、従業者との事前の合意(職務発明規程)により、特許を受ける権利を原始的に取得し、或いは特許を受ける権利を承継し、又は専用実施権の設定(特許出願人である従業者等から仮専用実施権を設定され、特許権の設定登録により専用実施権が設定された場合を含む)をすることができるようになりました。

(c)使用者等に付与されるこれらの利益は、もともと特許法が予定していた法定通常実施権の利益を超えるものですから、その超過する分の利益に相当する従業者等の利益を与えなければ、両者のバランスが取れません。

(d)そこで特許法第35条第4項は、従業者等が前述の相当の利益を受ける権利を有することを定めました。これを相当利益請求権と言います。

(e)なお、平成28年の改正前の特許法第35条では、ほぼ同様の意味合いで、「相当の対価を受ける権利を有する」と定めていました。そこで本項では、個々の事案に適用される法律に応じて、必要により“相当な利益の請求権”に代えて“相当な対価の請求権”という言葉を用います。

A相当な利益の請求権の内容

(a)職務発明規程において相当の利益について定める場合には、次のことを考慮して、その定めたところにより相当の利益を与えることが不合理であると認められるものであってはならない(特許法第35条第5項)。

・相当の利益の内容を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況

・策定された当該基準の開示の状況

・相当の利益の内容の決定について行われる従業者等からの意見の聴取の状況等

 すなわち、これらの手続を介して当事者の意図(発明の評価など)を汲み取り、そこから外れた不自然な“相当な利益”の算定は不合理と判断されます。
→相当の利益の合理性とは

(b)使用者等が定めた“相当な利益”の額が不合理である場合、従業者等は、本来支払われるべき額との差分を、追加の“相当の利益”として請求することができます。
相当利益請求権のケーススタディ1(オリンパス事件)

(c)相当の利益についての定めがない場合又はその定めたところにより相当の利益を与えることが第五項の規定により不合理であると認められる場合には、第四項の規定により受けるべき相当の利益の内容は、次の事情を考慮して定めなければならない(特許法第35条第7項)。

・その発明により使用者等が受けるべき利益の額

・その発明に関連して使用者等が行う負担

・貢献及び従業者等の処遇その他の事情


留意点

次ページ

※ 不明な点、分かりづらい点がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。


 

パテントに関する専門用語一覧へ戻る




今岡憲特許事務所 : 〒164-0003 東京都中野区東中野3-1-4 タカトウビル 2F
TEL:03-3369-0190 FAX:03-3369-0191 

お問い合わせ

営業時間:平日9:00〜17:20
今岡憲特許事務所TOPページ |  はじめに |  特許について |  判例紹介 |  事務所概要 | 減免制度 |  リンク |  無料相談  


Copyright (c) 2014 今岡特許事務所 All Rights Reserved.