No: |
1199 25 percent rule of
thumb(25%目安ルール)/特許出願 |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
25 percent rule of thumb(25%目安ルール) |
意味 |
25 percent rule of
thumb(25%目安ルール)は、2011年まで、米国の特許訴訟における仮想交渉で実施料を決定するツールとして、裁判所が採用されていたルールです。
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内容 |
①25 percent rule of thumbの意義
(a)米国特許法は、特許出願の要件(新規性や進歩性/非自明性)や特許権の内容に関して規定しているが、特許権が侵害されたときの損害賠償を決定する手順の多くは、判例に委ねられています。
(b)一般的に、ライセンサー(特許権者又は特許出願人)からライセンシーに対して実施許諾をするときには、ライセンサーに対して実施料が支払われるのが通常であるため、訴訟の場で仮想の実施交渉(hypothetical
negotiation)を行い、そこで定めた実施料率に基づいて計算した実施料を、賠償額とするという考え方があります。 →Hypothetical
negotiation(仮想交渉)とは
(c)そして実施料率の一応の目安を定めるためにツールが25%目安ルールであり、約15年程度に亘り、前記交渉に不可欠のルールとして運用されていましたが、連邦巡回裁判所が2011年にこのルールに対して否定的な判断するに至り、ルールとしての意味は失われました。
②25 percent rule of thumbの内容
(a)このルールの起源は、かなり古く、その起源は過去の判例や特許ライセンス調査に求められます。
・例えば1938年のHorvath v. McCord Radiator and Mfg. Co. et
alの事件では、裁判所は次のように判示しています。
“通常、発明者が実施料を徴収する権利は、製造者の得た利益に比例する。発明者の利益は、純利益の10%から30%の範囲とするべきであり、どの程度のレベルとするべきかは(発明品の)競争状態により決定するべきである。”
・こうした事情を背景として、1950年代に米国で実施された特許ライセンス調査に基づいて25%という数字が提唱されたと言われています。
(b)このルールはやがて米国特許訴訟の判例として採用されましたが、米国の産業界では、このルールが特許権者側に有利である(損賠賠償額を過剰に押し上げている)という見方をしている人が多くいました。
(c)2011年1月4日に言い渡されたUniloc USA v. Microsoft
Corp.において、米国連邦巡回裁判所は次のように判示しています。
“This court now holds as a
matter of Federal Circuit law that the 25 percent rule of thumb is a
fundamentally flawed tool for determining a baseline royalty rate in
a hypothetical negotiation. Evidence relying on the 25 percent rule
of thumb is thus inadmissible under Daubert and the Federal Rules of
Evidence, because it fails to tie a reasonable royalty base to the
facts of the case at issue. ”
当裁判所は、連邦巡回法に関する事項として、25%目安ルールが仮想交渉においてロイヤリティ率のベースラインを定めるためのルールとして基本的な欠点を有すると判断する。従って、25%目安ルールに依拠する証拠は、ダウバート基準及び連邦証拠規則の下で認められない。何故なら、それは、合理的なロイヤリティベースと、事案の事実とを関連付けることができないからである。
→ダウバートスタンダード(Daubert
standard)とは
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