No: |
1202 Entire market value
rule/特許出願 |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
Entire market value rule |
意味 |
Entire market value
ruleとは、特許の対象が製品の一部に存在する場合に、実施料の算定のベースを製品全体とする手法をを言います。
|
内容 |
①Entire market value ruleの意義
(a)特許出願人が発明の保護を求める際に、その発明の対象をどのように定め、かつ発明の範囲をどのように設定するのかを定めるのは、特許出願人の自由です。
・ここでいう発明の対象とは、例えばある製品に関する工夫をした場合に、全体品としての発明をするのか、或いは、その部品又は部分としての発明にするのかということです。
・また発明の範囲というのは、前述の発明の対象を構成する要件をどの程度限定するのか(例えば要件A+B+Cからなる発明とするのか、或いは要件A+B+C+Dとするのか)ということです。
特許出願人は、発明の対象及び発明の範囲を定め、これを出願書類の中のクレームに記載ければなりません。
(b)そして特許出願に対して特許の発行(Issue of
Patent)が行われた場合には、クレームに記載された事項は、特許権の内容する基礎となります。
(c)一般に発明の対象は、狭く設定した方が特許侵害の立証には有利です。具体例を挙げると、特許出願人が製品(例えば自動車)のある部分(例えば自動車用エンジン)をクレームしていたときには、当該部分が製品として流通しているケースでも、文句なく権利侵害を主張できるからです。
(d)その反面、発明の対象を広く設定した方が賠償額は高くなる傾向があると考えられています。特許出願人が全体品をクレームしていたときには、その全体品の発明の実施に対して損害賠償を請求できます。一般に[全体品の価格]>[部品の価格]ですから損害賠償額が大きくなります。
(e)それでは製品(全体品)が流通しており、特許の対象が全体品のうちの部分(部品)を対象としている場合には、どう考えれば良いのでしょう。
それに対する考え方を示したのが、Entire market value rule です。
②Entire market
value ruleの内容
(a)連邦巡回控訴裁判所は、エリクソン 対 D-Link 事件(Ericsson, Inc. v.
D-Link Sys. Inc., et al., 773 F.3d 1201)において、Entire market value
ruleに関して次のように述べています。
(イ)多数の部品からなる製品が関係する事案において、ロイヤルティベースとロイヤルティ率の最終的な組み合わせは、侵害を構成する機能の価値を反映したものでなければならず、それ以上の要素を取り込んではいけない。767
F.3d at 1326 (citing Garretson v. Clark, 111 U.S. 120, 121, 4 S.Ct.
291, 28 L.Ed. 371 (1884))。
(ロ)米国特許法第284 条に基づく合理的なロイヤルティは、奪われた価値
("value of what was taken")に基づいて算定されなければならないのであるがDowagiac Mfg. Co.
v. Minn. Moline Plow Co., 235 U.S. 641, 648, 35 S.Ct. 221, 59 L.Ed.
398
(1915)、特許権者から奪われたのは特許された技術であり、故に算定されるべき価値は、対象物品において侵害を構成する機能に限定されなければならない。
(ハ)被疑侵害物品が特許された機能とその他の機能からなる場合、価値の算定に際しては、当該特許された機能により付加された価値によって決定されなければならない。
(b)もっとも事案の性質によっては、販売可能な最終製品としての実施から損害額を算定することが認められる場合があります。
→Smallest salable patent practicing unit とは
|
留意点 |
|
次ページ
※ 不明な点、分かりづらい点がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。 |
|