体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
米国特許法第284条 |
意味 |
特許法第284条は、特許権の損害賠償請求権に関して規定します。
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内容 |
①米国特許法第284条の意義
(a)発明者は、特許出願の手続により当該発明が公開され、社会の技術革新に貢献することの報酬として、一定期間特許権を付与されます。
こうした考え方を報酬説と言います。もっとも当該特許出願の発明が新規性・進歩性などの特許要件を具備することを前提とします。
(b)米国特許制度において、特許侵害に対する救済手段として損害賠償請求権及び差止請求権があります。損害賠償請求権は、米国で1790年に最初に特許の成文法(制定法)が導入された当初から条文に盛り込まれていた権利であり(差止請求権は1819年から導入)、救済措置の中心をなす手段です。
(c)米国特許制度の損賠賠償請求権は、その当初において、逸失利益・侵害者の利益・確立された実施料を算定根拠とするものでしたが、1946年の改正で侵害者の利益は算定根拠から外され、その後も様々な変遷を経て現在の形に至ります。
②米国特許法第284条の内容
(a)米国特許法第284条が定める損害賠償の基本的なルールは次の通りです(同条第1段)。
(イ)賠償額は、侵害により生じた損害を補償するのに十分な額であること。
例えば侵害により特許権者が被った逸失利益を証明できるときには、逸失利益の額を、また確立された実施料(Established
royalty)の額を証明できるときには、その額を賠償額として請求できることができます(→Established royaltyとは)。
しかしながら、一般にこれらの額を立証するのは困難であるため、次の合理的なロイヤリティがあります。
(ロ)賠償額は、少なくとも合理的なロイヤリティ(reasonable royalty)以上の額でなければならないこと。
→合理的なロイヤリティとは
(b)侵害行為が悪質である場合、裁判所は状況に良入り、侵害者に対して制裁を課する権限を有します(同条第2段)。
例えば侵害者が故意に侵害をしたことが立証された場合が該当します(→故意侵害(Willfull infringement)とは)。
さらに悪意の訴訟が立証された場合も該当します(→悪意の訴訟(Wanton Litigation)とは)。
(c)具体的には、第1段のルールに基づき認定された賠償額を3倍まで増額する権限を認められます(同条第3段)。 →3倍賠償とは
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留意点 |
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