内容 |
①主登録の意義
(a)特許原簿には、特許に関する権利の得喪変動に関する各種事項が記載されます。
誰が特許権者であるか、当該特許に関して専用実施権・質権が存在するかは、第三者(特許権者との交渉を希望する者等)にとって重要であるため、権利の公示の要請に応える必要があるからです。
(b)特許法第27条第1項は、次の事項を特許庁に備える特許原簿に登録する旨を規定しています。
・特許出願に対して特許権の設定が行われたこと、或いは、存続期間の延長、移転、信託による変更、消滅、回復、または処分の制限があったこと。
・特許権者が専用実施権を設定したこと、或いは、専用実施権の保存、移転、変更、消滅、又は処分の制限があったこと。
・特許権又は専用実施を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅又は処分の制限があったこと。
・特許出願人が仮専用実施権を設定したこと、或いは、仮専用実施権の保存、移転、変更、消滅又は処分の制限があったこと。
(c)これら登録事項に関して、法律上の効力又は法律上の地位の順序(順位という)を付する必要が生じる場合があります(→順序とは(特許原簿上の))。
この際に、それ自体に独立した順位番号が付される登録事項を主登録といい、いずれかの主登録に付記される事柄であって、主登録の順位番号に従って順序が決められる登録事項を付記登録といいます(→付記登録とは)。
この点に関して、特許登録令第7条には、「付記登録の順位は、主登録の順位により、付記登録間の順位は、その前後による。」と規定されています。
(d)特許登録令の付記登録は、不動産登記の“付記登記”に由来する概念です。
②主登録の内容
(a)例えば特許権を目的とする質権が複数設定された場合に、それらの質権が設定された旨の登録は、主登録となり、これに対して、質権者の表示の変更(社名変更など)が行われたときに当該表示の変更は付記変更となります。
専用実施権を目的とする場合にも同様です。
(b)また特許出願に仮専用実施権の設定が行われたとき、当該仮専用実施権の登録は主登録となり、これに対して、仮専用実施権に係る特許出願に係る特許を受ける権利を有する者の表示が変更された場合に、当該特許を受ける権利を有する者(すなわち特許出願人)の表示変更の登録は付記登録となります(登録令第四条二)
|