内容 |
①特許原簿における順位の意義
(a)特許原簿は、特許に関する権利の得喪変動を記録し、公示するものです。
特許出願人が出願審査請求をして、実体審査(進歩性等の審査)の手続を経て特許査定を受け、所定の特許料を支払ったときには、特許権の設定の登録の処分が行われるとともにその旨が特許原簿に記録され、
特許権者が専用実施権の設定や質権の設定を行ったとき、或いは、特許出願人が仮専用実施権の設定を行ったときにも、当事者の申請により、それらの事実の登録が特許原簿に記載されます。
(b)こうした登録事項の中には、登録上の権利者同士の利益の衝突を生ずる場合があり、その場合にどの権利者を優先するのかという観点から、“順位”という概念を考慮する必要があります。
(c)担保物権の順位といえば、優先弁済を受ける優劣の順序を言います。
②特許原簿における順位の内容
特許登録令には順位に関して次の規定があります。
(a)同一の特許権その他特許に関する権利について登録した権利の順位は、法令に別段の定めがある場合を除き、登録の前後による(第六条)。
例えば同一の特許権を目的とする質権の順位は、登録の前後によります。
(b)付記登録の順位は、主登録の順位により、付記登録間の順位は、その前後による(第七条)。
・例えば順位1番の質権への移転の登録(名義人甲から乙への移転)及び順位2番の質権の移転の登録(名義人丙から丁への移転)が付記登録として行われている場合に、それぞれの付記登録の順位は主登録の順位によります。
・また主登録に対して複数の付記登録(例えば登録名義人の表示の変更)が存在する場合には、それら付記登録の間の順位は、その前後によります。
(c)仮登録をしたものについて本登録をしたときは、その順位は、仮登録の順位による(第八条)。
例えば特許権の移転に関して、終局的な登録の条件が整わない段階で仮登録を行い、後日書類が整った段階で本登録を行った場合には、当該本登録の順位は仮登録の順位によります。
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