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 パテントに関する専門用語
  

 No:  1406   

上訴権/特許出願/新規性

 
体系 行政行為
用語

上訴権

意味  上訴権とは、上訴をする訴訟法上の権利を言います。

 ここでは、民事訴訟法上の上訴権に関して解説します。


内容 @上訴権の意義

(a)下級裁判所が判決を出したときに、当事者は、所定期間内に、この判決について上級裁判所による再審理を求めて上訴することができます(→上訴とは)。

 上訴ができる状態にあることを、一種の権利或いは権能として、“上訴権を有する”と表現します。

(b)裁判の当事者の他に補助参加人も上訴権の主体となると解されています。

(c)上訴権の種類としては、控訴権、上告権、抗告権があります。

(d)判決は、上訴をせずに上訴期間が経過したときには自然に確定しますが、上訴期間の経過を待たずに、上訴権が放棄されたときには、その時点で確定します。


A上訴権の内容

(a)特許の分野では、審決取消訴訟で特許権者側が負けた場合に上訴権放棄が行われた事例があります(平成26年(行ケ)第10204号)。

・原告は,平成24年5月2日,本件特許のうち請求項1に係る部分を無効にするとの無効審判を請求した(無効2012−800073号)。

 無効の理由は、特許出願の日前に頒布された刊行物等に記載された発明と同一である(文献公知)ので新規性を欠如しているということである。

・被告は,平成25年1月22日,訂正(第一次訂正)の請求をした。

・特許庁は,同年4月15日,上記訂正を認めた上,「本件審判の請求は成り立たない。」との審決をした。

・原告は,同年5月8日,知的財産高等裁判所に上記審決の取消しを求めて訴えを提起した(平成25年(行ケ)第10134号)。

・知的財産高等裁判所は,同年11月27日,上記審決を取り消す旨の判決(第1次審決取消判決)をした。同判決は,同月28日,被告の上訴権放棄により確定した。

・その後,特許庁において,上記無効審判の審理が再開された。

・被告は,平成26年2月28日,訂正(第二次訂正)の請求をした。

・特許庁は,同年8月12日,「請求のとおり訂正を認める。本件審判の請求は成り立たない。」との審決をし,同月21日,その謄本を原告に送達した。

・原告は,同年9月5日,上記審決の取消しを求めて本件訴えを提起した。

(b)この事例のように、上訴権放棄は、上訴権者側に手続の確定を急ぐ理由がある場合に行われます。

 すなわち、特許権者としては、審決取消訴訟の判決において、第一次訂正によって無効理由(新規性の欠如)が解消されたとは言えないという一応の結論が出たので、これに対して最高裁判所に上告するよりも、無効審判の審理に戻って第二次訂正をした方が得策と判断し、そうするのであれば、上訴権放棄により、一刻も早く無効審判の審理を開始してもらうのが有利と考えたものと推察されます。

 特許権の存続期間は、特許出願の日から20年で終了するものであり、有限ですから、争いを早く解決させて、安心して権利を活用することが重要だからです。



留意点

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