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@特許権の存続期間の延長登録の意義
(a)特許権の存続期間の延長とは、特許出願の日から20年の期間を超えて特許権の存続を認めることであり、具体的には、特許法以外の法律の規定により2年以上特許発明を実施できなかった特許権の存続期間を、一定の条件の下で延長することです。
(b)特許権の権利範囲は、特許出願人が記載する特許請求の範囲の内容によって決まります。発明の単一性という制限を満たさなければなりませんが、基本的に、特許請求の範囲は、特許出願人による発明の捉え方次第で広くも狭くも設定することができます。
これに対して、特許権の延長登録は、薬事法などの処分ごとに行われるものであり、一般的に、当該処分は薬の安全性の担保のために成分・分量・用法・用量・効能・効果などがこと細かく設定されるために、当該処分の範囲は、通常、狭くなります。
(c)特許権の存続期間の延長制度は、特許発明の実施が薬事法などの処分を受けることが必要であるために規制され、特許出願の日から20年間という本来の存続期間が実質的に侵食されることを防止するためです。
(d)従って、特許請求の範囲の記載で定められた保護範囲の一部に薬事法などの処分を受けることが必要であるために、特許権の存続期間の延長登録により、当該一部以外の部分に関して、特許出願の日から20年を超えて特許権の効力が及ぶのは、特許権の存続期間の制度の趣旨に反します。
(e)そこで特許権の存続期間の延長登録の効果として、前記の制限を課しました。
A特許権の存続期間の延長登録の内容
(a)特許権の存続期間が延長された場合の当該特許権の効力は、その延長の理由となった特許法第67条第2項の政令で定める処分の対象となった物についての当該特許発明の実施以外の行為には、及びません(特許法第68条の2)。
“特許権者は何らの法規制もなければ特許発明の実施をすることができたにもかかわらず、所定の政令で定める処分を受けることが必要であるためにその実施が妨げらている場合に、当該特許権の存続期間の延長を認めることとするのが特許権の存続期間の延長制度の趣旨である”(工業所有権逐条解説)からです。
(b)“特許権の存続期間が延長された場合”とは、特許権の存続期間の延長登録の出願があったことにより、特許法第67条の2第5項の規定により、存続期間が延長されたものとみなされた場合を含みます。
(c)政令で定める処分としては、薬事法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)による処分及び農薬取り締まり法による処分を挙げることができます。
(d)“処分の対象となった物”に関しては、その処分において“その物”の使用される特定の用途が定められている場合にあっては、当該用途に使用される“その物”に特許権の効力が限定されます。
判例によれば、処分の対象が医薬品であって、当該処分において用法・用量が定められているときには、これら用法・用途は用途を特定する要素とみることが妥当とされてます。
→延長登録の理由である処分の対象となった物とは
これに対して、医薬品の場合には、有効成分及び効果が同一であれば、剤型・製法などが異なる実施の態様にも延長後の特許権の効力が及ぶと解されます。
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