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1442
延長登録の理由である処分の対象となった物/特許出願/ |
体系 |
権利内容 |
用語 |
延長登録の理由である処分の対象となった物 |
意味 |
延長登録の理由である処分の対象となった物とは、特許発明の対象である物であって、薬事法等の処分を受けることが必要であるために、当該特許発明ができなかったときのその物を指します。
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内容 |
@延長登録の理由である処分の対象となった物の意義
(a)特許法第68条の2は、“特許権の存続期間が延長された場合の当該特許権の効力は、その延長の理由となった所定の政令で定める処分の対象となった物についての当該特許発明の実施以外の行為には、及ばない。”と定めています。
処分の対象となった物と実質的に同一でない物にまで延長登録の効果を認めると、特許出願の日から20年間を限度として特許権の存続を認め、その後は、特許の対象であった発明を公衆による自由実施に委ねるという特許権の存続期間制度の趣旨に反するからです。
(b)しかしながら、延長登録の理由となる処分は、薬事法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)などの別の法律の下で行われる処分であり、医薬品等の安全を確保するために、処分の対象を細かく特定する必要があります。
具体的には、薬事法第14条第2項は医薬品の承認に必要な審査の対象となる事項として、「名称、成分、分量、用法、用量、効能、効果、副作用その他の品質、有効性及び安全性に関する事項」を掲げています。
他方、特許法の場合、発明を特定する方法・表現は特許出願人の任意ですが、最終的に特定するべきものは、物の発明においては、その物の構造(或いは物の構造及び用途)です。
特許法の目的は、技術的なアイディアを保護・利用して産業の発達に寄与することであり、薬事法等の目的とは異なるため、それぞれの法律で用いられる用語の関係を整理して、“処分の対象となった物”を合目的的に解釈する必要があります。
A延長登録の理由である処分の対象となった物の内容
(a)判例上の“処分の対象となった物”に関する判断基準は次の通りです。
・医療品の成分を対象とする物の特許発明において、医療品としての実質的同一性に直接関わる審査事項は「成分、分量、用法、用量、効能及び効果」である(平成26年(行ヒ)第356号)。
・「成分、分量」は物を特定する要素と、また「用法、用量、効能及び効果」は用途を特定する要素と求めるのが相当である。(平年28年(ネ)第10046号)
・「成分、分量、用法、用量、効能及び効果」が全て一致する物だけでなく、実質的に同一である物も“処分の対象となった物”と解釈するのが妥当である(平年28年(ネ)第10046号)
(b)処分の対象となった物の実質的な同一性の態様に関しては下記を参照して下さい。
→処分の対象となった物の実質的同一性の態様
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留意点 |
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