No: |
1470 Question of fact/特許出願/禁反言 |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
Question of fact |
意味 |
Question of
fawとは、欧米法の裁判において事実の認定に関する問題に関して設定された問い掛けを言います。
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内容 |
@Question of fawの意義
(a)裁判所において事実の認定に関する問題を、事実問題(matter of fact)と言います。
(b)Question of
factは、裁判において事実問題を判断する任務を負う者(trier of fact)に対して、裁判官が問い掛ける形で設定される設問です。
“Trier of fact”は、一般的には陪審員ですが、裁判官自身であることもあります。 →Trier of
fact(事実認定者)とは
(c)事実問題と相対する概念として法律問題があります。 →法律問題(matter of
law)とは
(d)裁判上は、事実問題と法律問題を区別することこそ重要です。陪審と裁判官との役割の分担、或いは各審級の裁判所の役割の分担と関連があるからです。
これに比較すると、“Question of fact”及び“matter of
fact”の用語はそれほど厳格に区別する必要がありません。
ある事柄が法律問題ではなく事実問題である旨を強調する文章の
“Question of fact”を“事実問題”と意訳しても、無理なく意味が通ずることがよくあります。
そこで、この記事においても、“Question of fact”と “matter of
fact”とを厳格にせずに、両者の意味合いを説明したいと思います。
AQuestion of factの内容
(a)ある事実関係(例えばお金を貸した・貸していないなど)に関して当事者間に争いがある場合には、どの法律を適用するべきかを考える以前に、証拠(当時の様子を知る証人の証言など)を調べて事実関係を明らかにしなければなりません。
しかしながら、事件の主要事実に関して直接の証拠が書面(例えば借用書などの契約書)になっていれば、その書面の成立に疑いがある場合を除いて、陪審に対して“Question
of fact”を問いかける余地は少ないと言えます。
意思表示自体が証拠になっており、意思の有無が争点化する可能性が低いからです。
後は法律問題の争点に関してどの法律を適用するかを考えれば良いだけです。
(b)特許法では、特許出願人に保護範囲を記載した書面(クレーム)を提出させるという制度を採用しています。このクレームは、ビジネスにおける契約書と同様に権利の範囲を規定する役目を有します。
このクレームの解釈は、法律問題であるか事実問題であるかが争われた事件として、1995年のMarkmann事件があります。
→Markmann判決とは
クレーム中の用語の解釈に争いがあり、連邦巡回控訴裁判所(FAFC)が「クレーム解釈は法律問題であり、裁判所の専権に属する」と判示したのに対して、原告(Markmann)が“前記用語に関する証人の証言は事実問題であり、陪審が審理するべきであった”として最高裁判所に上訴したのです。これに対して最高裁判所は控訴裁判所の判決を支持しました。
(c)しかしながら、クレームの解釈に関する争点であっても、例えば技術用語として曖昧な表現が用いられており、裁判官の手に余るような複雑なケースが想定されます。こうした場合には、事実問題として、裁判官が陪審に対して“Question
of fact”を問いかけ、陪審がそれに答えるという手続きをとることが妥当です。 →Question of
factのケーススタディ1
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