内容 |
①Doctrine(法理)の意義
(a)Doctrineは、一般に、多くのrule(準則)に共通して見られる法についての基本的な考え方をいいます。
(b)従って、Doctrineは、ruleより広いが、principleよりは具体的なものです。
②Doctrine(法理)の内容
知財の分野では、Doctrineという用語は、例えば次の場合に用いられます。
(a)Doctrine of equivalence(均等論)
特許権の範囲は、クレーム(特許出願人が自ら作成した発明の保護を求める文章)により決まることが前提です。しかしながら、発明を文章化することは難しく、また時代の推移により、特許出願人の予想もしないような形で発明の保護範囲に穴が生じてしまう場合もあります。
特に、特許出願後の関連技術の進歩・発展による変化は実務上大きな問題となります。
例えば電気の分野では、アナログからデジタルへと技術の主流が急速に変化しましたが、アナログ技術が全盛の時代に行われた特許出願のクレームは、後の人から見ると不完全なものである場合が少なくありません。
こうした事情を考慮して、衡平の観念から、特許権の保護を特許発明と均等の発明に及ぼすのが均等論です。
(b)Doctrine of precedent(先例拘束性の原理)
これは、英米法の民事裁判に適用され、“十分に類似(sufficiently similar)の事案は同様に扱う(like cases
should be treated alike)”という趣旨の原則です。
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