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@Principle(原則)の意義
(a)“Principle”の一般用語としての意味は、“in general but not in
detail”(全体的ではあるが、詳細ではない)ということです(Oxford Dictionary)。
(b)そして法律用語としての“principle”は、いわゆるrule(準則)やdoctrine(法理)よりも一段高い抽象レベルにある法の一般原則という意味です。
→rule(準則)とは
“高い抽象的レベル”とは、法解釈に関してある程度の方向性を示しているが、ruleに比べて具体的ではないという意味です。
例えば“principles of equity”(平衡の原則)という用語のようにです。
(c)英米では、裁判所が判決に当たって直接結論が引き出せるような明確な内容の法源が存在しないときに、制定法・判例法などの法源の解釈に当たって、または新しい問題として法形成する際に、推論の根拠とされることはある。
(d)但し、“principle”は、前述の通り具体的ではないため、それ自体が裁判規範としての法的拘束力を持つといえません。
APrinciple(原則)の内容
(a)知的財産の分野では、特許出願の許否の要件である非自明性(進歩性)に関して、MEPE(米国特許審査基準)において次のような文章があります。
‘In KSR, the Supreme Court particularly emphasized “the need for
caution in granting a patent based on the combination of elements
found in the prior art,”Id. at 415, 82 USPQ2d at 1395, and discussed
circumstances in which a patent might be determined to be obvious.
Importantly, the Supreme Court reaffirmed principles based on
its precedent that “[t]he combination of familiar elements according
to known methods is likely to be obvious when it does no more than
yield predictable results.”Id. at 415-16, 82 USPQ2d at 1395.’
(KSR事件において、最高裁判所は、“先行技術に見出される要素の組み合わせに基づく特許を許可する時に注意する必要性”を特に強調して、特許が自明であると決定するべき状況に関して議論した。
重要なこととして、最高裁判所は、“馴染みのある複数の要素を既知の方法で組み合わせることは、それが予期しない結果を生み出さない限り容易であると思われる(likely
to)”という先例に基づく原則(principle)を再確認した。)
(b)この文章では“likely
to”という用語が使われていることからも判るように、先例における裁判所の判断のおおよその方向性を示しているものです。
非自明性(進歩性)の性質上、このように表現するのが精一杯であると思われます。
“doctrine”や“rule”という言葉が使われる場合と比較して、抽象性のレベルが一段高いと言えます。
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