体系 |
特許申請及びこれに付随する手続 |
用語 |
図面 |
意味 |
図面は、特許出願の願書の任意的添付書類であり、明細書の理解を補助するための書面です。
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内容 |
@特許出願の願書の必須書類である特許請求の範囲及び明細書では、発明を文章により特定しています。発明の技術的な範囲を客観的に表現するためには文章が適切であり、特許調査をするに際しても文字より特許情報を検索できることが便利だからです。しかしながら機械などの分野では、図面を併せて利用することで技術内容をより的確にかつ迅速に伝達することができます。そこで特許出願においては「必要な図面」を添付することと定められています。
A図面は、特許出願の明細書や特許請求の範囲の文章や用語に意味を正確に役割を果たします。文章は発明の特定手段の中心ですが、図面があることで敢えて言葉にしなくても相手に判ることがあります。文章で発明の内容の全てを伝達しなければならないとすれば、非常に冗長な文章となり、技術情報を開示する特許出願の意義を十分に達成できないおそれがあります。
B図面は、特許出願の内容を素早く理解することを可能とするという意味があります。機械の図形や電気の回路図等を見てまず発明の内容をおよそ理解してから明細書などの文章を読んだ方が早く理解することができ、特許調査も合理的な時間内に行うことができます。
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留意点 |
Aに関して、図面による開示の意義を理解できる事例を挙げます(平成3年(行ケ)第213号・「ボンディング装置における移動台送り装置」事件)。
A.特許請求の範囲の記載不備を理由とした無効審判(請求不成立)の取消訴訟です。
B.原告が“図面をみれば第1の移動板と第2の移動板とが平面的に配置されていることが伺えることはできるが、発明の詳細な説明には両者の位置関係がどこにも記載されていない。”と主張しました。
C.これに対して裁判所は、「図面は、発明の内容を理解し易くするために明細書の補助として使用されるものである…、特に機械的構造物の各部分の位置関係の説明等においては、文章によるよりも図示した方がより明確に理解し得ることができるものであることは当裁判所に顕著な事実である。したがって、明細書の詳細な説明の記載と図面により、その特許請求の範囲に記載された発明の内容が理解されるものであれば、その発明の詳細な説明の記載が不備であるということはできない。」と判断しました。
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